2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

山本七平氏の日本陸軍についての論考と最近の某保険会社での不祥事

山本七平氏の軍隊三部作?「ある異常体験者の偏見」「私の中の日本軍」「一下級将校のみた帝国陸軍」はそれぞれ1974、75、76年の刊行であるが、わたくしの持っているのは、それぞれ81、75、81年の刊の本であるので、「私の中の日本軍」のみを…

《自分に正直に生きたい》

本棚の奥から呉智英さんの古い本「バカにつける薬」が出て来た。(双葉社 1988年刊) 呉智英氏の名前は「くれともふさ」と読むのが正しいようだが、わたくし的には「ごちえい」さんである。 その巻頭で、西舘好子氏の《自分に正直に生きたい》という言葉…

岡田暁生 片山杜秀 「ごまかさないクラシック音楽」(5)

第三章 ロマン派というブラックホール1.ロマン派とは何か 岡田:ロマン派はクラシック・レパートリーの本丸。 片山:小難しい古典主義ではなく、階級を問わず広く受け入れられる新しい価値が「ロマン」。 岡田:ロマン派の時代は、1800年初頭からのほ…

岡田暁生 片山杜秀 「ごまかさないクラシック音楽」(4)

第二章 ウィーン古典派と音楽の近代 ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン 片山 バッハとベートーヴェンでほとんどのことは語れる。 岡田 バッハは前近代の人、ベートーヴェンは近代の人。ハイドンには聴衆一人一人の顔が見えていた。 片山 ハイドンは雇…

代表的日本人100人

今日の朝刊に「文藝春秋」が創刊100年になるらしく、特集「現代の知性24人が選ぶ 代表的日本人100人」という企画の宣伝が載っていた。その24人がおのおの3名の代表的日本人を挙げている。広告にでているのは3x24=72名で、「文藝春秋」本体…

岡田暁生 片山杜秀 「ごまかさないクラシック音楽」(3)

第1章 バッハは「音楽の父」か 岡田 まず「神に奉納される音楽」の話から 片山 クラシック音楽は「神なき人間」が倫理的に目覚め、素晴らしい世界に到達するという啓蒙主義的なヴィジョンを表象するツール。しかし近代以前の人間はひたすら神にすがる。古楽…

勇気凛凛ルリの色

浅田次郎氏に「勇気凛凛ルリの色」というエッセイ集がある。その中に「タイトルについて」という「勇気凛凛ルリの色」という題を説明した文がある。それにこの「勇気凛凛ルリの色」という言葉を38歳以上は知っていて、37歳以下は知らないとある。これは…

まごころ

前稿で、『わたくしは「まごころ」などというものをいまだに信じている古い人間』といったことを書いた。それで、フロベールの「三つの物語」のなかの「まごころ」を思い出した。 「三つの物語」は「まごころ」「聖ジュリアン伝」「ヘロデイアス」の3編を収…