道草

篠沢秀夫さん

篠沢秀夫さんが亡くなられたらしい。 文学者としての篠沢さんのことを知ったのは、開高健・谷沢永一・向井敏の鼎談「書斎のポ・ト・フ」によってだった。もちろん、クイズ・ダービーの篠沢教授は知っていたが。そこで氏の「篠沢フランス文学講義」(全2冊)…

大岡信さんを送る会

本日、明治大学で行われた「大岡信さんを送る会」に参列してきた。妹の中高から親しくしている同級生が大岡さんの娘さんの御主人ということで妹が誘われ、それをきいて全然大岡信の詩を読んでいない妹に、これくらいは読んでおいたらと何冊かの詩集を見せた…

 ドラッカー

最近のアメリカの動向をみていて、ドラッカーの「傍観者の時代」(「ドラッカー わが軌跡」という題でも刊行されている。どちらも上田惇生訳 ダイヤモンド社 前者はドラッカー名著集12、後者は単行本)の最終章「お人好し時代のアメリカ」を思い出した。1…

今年一年

ここではあまりプライヴェートなことは書かないようにしているが、本年は95歳になる母の介護の問題が表面化してきて、また身内で心臓弁膜症で手術するものがでたりで、例年とは少し違う一年になった。その他にもいろいろあるのだが、いずれにしても必ずし…

雑感2

ネットで記事を見ていたら、ニューヨーク・タイムズが、米大統領選の結果を受けて、「選挙結果は劇的で予想外だった。トランプ氏が全く型破りだったため、我々メディアは彼に対する有権者の支持を過小評価したのか。なぜこのような結果となったのか」などと…

雑感

しばらく前のイギリスのEU離脱、最近の米国の大統領選挙などを見ると、知識人というかエリートと呼ばれているような人々の信用が地に落ちてきているように感じる。それと同時に、なんとなく社会を指導するひとと見られ、あるいは自分でもそう思っていたひ…

高齢者医療―昨日の続き

昨日、橋本治さんの「いつまでも若いと思うなよ」を論じて、どうも日本の高齢者の医療はこのままでいいのかなというようなことを歯切れ悪く書いたが、今日読んだ「新潮45」の11月号(橋本さんの本ももともとこの雑誌に連載されたものであったので、そう…

ピケティ

いまピケティの「21世紀の資本」を少しづつ読んでいるのだが(まだ第2章あたり)、「アゴラ」に池田信夫さんの『ヨーロッパ左翼思想の到達点ー「21世紀の資本」』という文がアップされていた。 そこにこんなところがあった。「ヨーロッパの左翼は、英米…

ウェヴ2.0

今月号の「新潮45」に古市憲寿という方の『「ウェヴ2.0」はどこに消えた?』という文が載っていた。10年ほど前に一時話題になった「ウェヴ2.0」についての論である。 2006年のベストセラー梅田望夫氏の『ウェヴ進化論』で、氏はウェヴ上に多く…

ノーベル賞とイスラム国と希望の国

日本人がノーベル賞をとったと沸いている。日本人はノーベル賞好きなのだそうだけれども、こういう騒ぎは世界中どこでも見られるのだろうか? わたくしはノーベル賞自体には関心がないけれども、受賞者の一人の中村氏が、「日本には研究の自由がない」という…

「大きな物語」の消滅

最近、勝手に「朝日新聞問題ウォッチャー」をしていたので、昨日の朝日新聞の会見はとても興味深かった。ちょっと「団交」というのを思い出した。 わたくしは戦後2年目に生まれで、中学に入ったときに60年安保、大学に入ったときに「1968年」があり、…

論語と聖書

「論語」子路篇に以下のようなところがある。 葉公孔子に語げて曰く、「吾が党に直躬という者有り。其の父羊を攘みて子之を証せり」 孔子曰く、「吾が党の直き者は、是に異なり。父は子の為に隠し、子は父の為に隠す。直きこと其の中に在り」と。(葉公が孔…

最近の朝日新聞

わたくしは従軍慰安婦の問題については、それについて何かいえるほど勉強しているわけではないので、最近の朝日新聞の訂正の記事自体については特に何かいえるほどの見解はもっていない。ただ、朝日新聞というかマスコミ一般についていえることなのかもしれ…

福島第一原発見学

機会があって福島第一原発を見学することができた。 昨日、いわき市に泊まり(七夕祭り?とかで大変なにぎわいであった)、朝そこを出て、まず福島第2原子力発電所にいき、そこで説明をきいたあと、第一原発を見学、その後また第2原発に戻り、Jヴィレッジ…

みたままつり

九段にある病院に見舞いにいって、九段下の駅が若者でごった返しているのでびっくりした。みんな靖国神社のほうへいく。最近の若者の右傾化なのであろうか?とも思ったがどうも変なのは、多くが浴衣をきたりしていて盆踊りかなにかいく若者の雰囲気なのであ…

「新潮」今月号

現在「新潮」に長谷川郁夫氏の「吉田健一」が不定期に連載されている。いずれ本になるのだろうから、その時に読めばいいのだが、見るとついつい買ってしまう。それで、今月号の第12回を見ていたら、わたくしとしてははじめて知ることが書いてあった。吉田…

池澤夏樹 個人編集 日本文学全集

今日の朝刊に「池澤夏樹 個人編集 日本文学全集」の宣伝がでていた。すでに刊行された「池澤夏樹 個人編集 世界文学全集」の姉妹版ということらしい。刊行はまだ先の11月。 全30巻で、12巻までが明治以前、13巻から25巻までが明治以降の作家。26…

学会のシンポジウム

今日、学会で、普段ならきかないような話をきいてきた(第100回日本消化器病学会総会「シンポジウム1 消化管幹細胞研究の新たな展望」)。 昨今、幹細胞というのが話題になっていなければきこうとも思わなかったはずである。何しろこちらは予備知識ゼロである…

 「一杯のかけそば」と最近の理研騒動のことなど

何とはなしに堀井憲一郎さんの「若者殺しの時代」を読み返していたら、その最初に「一杯のかけそば」のことが書いてあって、それで最近のいろいろな事件のことが頭に浮かんだ。 「一杯のかけそば」の事件?は1989年つまり平成元年のできごとだから、いま…

ディオバンの問題と日本人間ドック学会の発表

ディオバン製造会社であるノヴァルティス・ファーマ社の社長の交代が報道されている。ディオバンの問題と白血病治療薬の問題によるもので、ドイツ人の新社長が「日本の従業員は他国と比べて医師を優先する傾向がある。患者優先の方向に文化を変えなければな…

小保方さんのことなど

今日から年度がかわったことだし、時々、読書の備忘以外にも書いてみようかと思う。 部外者で本当のことはまったくわからないが、大学の学位論文などのことが問題になりはじめたころは、小保方氏はひょっとして一切実験などはせず、ストーリーだけを作って、…

佐村河内氏の曲のことなど(補遺)

佐村河内氏の「交響曲第一番」について少し書いていて、やはりあれが大きな問題になった原因のひとつが《交響曲》を書いたということにあったのだろうかと思った。ヴァイオリンのためのソナチネとかピアノ・ソナタとかを書いただけであれば、あれほどの騒ぎ…

佐村河内氏の曲のことなど

佐村河内氏の「第一交響曲」はCDを持っている。最初に聴いたときの印象は、少し長すぎるな(特に2楽章)というのと、ところどころ妙に音楽が薄いなという感じはあったが、非常に才能のあるアマチュア作曲家の作というのが感想だった。最近、聞き直して、…

朝日新聞夕刊の中村紘子さんの記事

昨日の朝日新聞の夕刊に「人生の贈り物」という題の5回連載のインタヴュー記事があり、今週は中村紘子さんで、昨日が最終回。 質問「日本人がクラシック音楽をする意味は何でしょうか」 解答「若い頃からの一番の悩みでした。でも世の中がグローバルになっ…

オリンピック

前の東京のオリンピックの時は高校3年だった。当然受験を控えていたわけだが、現実逃避ということになるのだろうが、こんなことをしていてはいけないと思いながらも、随分とテレビ放送をみてしまった。本来スポーツには全然関心のない人間なのだが、記憶に…

100万ページビュー

数日前にページビューが100万をこえた。実はPVというのが何だかよくはわかっていなくて、たぶん何かの検索などからここに来たかたがそのページだけみれば1PV、ついでももう一つ別の記事をみれば2PVということになるのかなと思っている。それでU…

日本禁煙学会

この前、岩田健太郎氏の「「本当に」医者の殺されないための47の心得」から「ほんとうにこわいニコチン中毒」というのをおもしろかったので紹介した。必要なことはそこにつきているので、わたくしがつけくわえることは何もないのだが、最近、日本禁煙学会…

バルサルタン(ディオバン)問題・続き

2回、この問題についてみてきたが、もう一回。 自分の研究に対し、資金を提供してくれる人がいるとします。その研究において、スポンサーが期待する結果と異なる、どちらかと言えばスポンサーが望まない結果が出たものとしましょう。そんな時、自分の研究結…

昨日の続き

最近はほとんどテレビは見ないのだが、高校くらいまでは結構みていた。昨日の「ローン・レンジャー」に続いて、少し思い出してみる。 まず「パパは何でも知っている」。アメリカの中流(上流?)家庭を描いたホームドラマで、内容はまったく覚えていないが、…

ローン・レンジャー

新聞を見ていたら、映画「ローン・レンジャー」の広告があった。 かなり以前、S・キングの「IT」を読んでいて、最後の方で、主人公が坂道を自転車で下りながら、「ハイヨー、シルヴァー、それいけえええええ!」と叫ぶところがあった。("HI YO SILVER AW…