「新潮」今月号

 
 現在「新潮」に長谷川郁夫氏の「吉田健一」が不定期に連載されている。いずれ本になるのだろうから、その時に読めばいいのだが、見るとついつい買ってしまう。それで、今月号の第12回を見ていたら、わたくしとしてははじめて知ることが書いてあった。吉田茂は死後洗礼を受けてカトリックで内葬がおこなわれたのだという。茂夫人の雪子氏が欧州滞在中にカトリックに触れ、熱心な信者となったため、その感化で健一氏以外の子供は皆、受洗していたのだという。妹の麻生和子氏の強い意向で死後洗礼とカトリック方式での内葬がおこなわれたということらしい。しかし健一氏は死後洗礼を認めず、仏式の墓を青山に作ったのだという。
 わたくしは吉田健一はアンチ・カトリックのひとだと思っているので、このことを知って驚いた。特に母親の雪子氏が熱心なカトリックであったとは。E・ウォーの「ブライヅヘッドふたたび」などを訳していた健一氏は微妙な思いであったかもしれない。