今日入手した本

国の死に方 (新潮新書)

国の死に方 (新潮新書)

 今年の後半は片山氏の「未完のファシズム」への感想をいろいろと考えているうちに過ぎてしまったような気がする。その片山氏の新著である。
 片山氏は東日本大震災原発事故をみて、日本の国家と社会が比較的短期間で崩壊するのではないかと感じたらしい。それで終末を意識した文をいろいろなメディアで書いたり喋ったりしたのだという。短期間での崩壊はないと感じられるようになっても、中長期的には国家の破局の可能性は氏の頭を去らないらしい。その意識から過去をあたらめて見直すことを考えて、2011年7月から2012年7月まで雑誌に連載した記事をまとめたのが本書ということのようである。「何か切迫した思いが伝われば」というのが「国の死に方」という大袈裟で奇矯なタイトルをつけた理由なのだという。
 まだ三分の一くらいにざっと目を通しただけであるが、「未完のファシズム」とはかなり印象の異なる本である。「切迫した気分」が横溢している。「未完の・・・」には遊びというか余裕の気分があった。「どうです、こういう風にみてみると別の面がみえて面白いでしょう!」というようなお茶目な表情がみえた。しかし、本書は真面目である。その分、切迫して余裕がない。わたくしは本を書くために必要なものはまず余裕というか日常であると思っているので、非日常意識に充ちている本書を読み通すのはいささかつらいものがありそうである。それでも読み終えることができたら、また感想を書くかもしれない。