A・ガワンデ「死すべき定め」

死すべき定め――死にゆく人に何ができるか

死すべき定め――死にゆく人に何ができるか

 最近、いろいろなところでこの本のことを聞くので買ってきてみた。著者は甲状腺を専門とする外科医らしい。
 どうも死の受容といった方面の本は苦手である。たとえばキュブラー・ロスみたいにオカルトに接近するというか、下手をすると死後の世界みたいな方向にいくものもあり、従容として死を受け入れるといったなんだか胡散臭い本も多くて、あまり近づきたくないと思っている。西欧はその根にあるキリスト教から霊魂といったものと縁を切るのが容易ではなく、人間の死と人間以外の動物の死を同じものとしてあつかえない傾向が強いと思う。本書もタイトルからして何となくそんな方向の本かなと思っていたのだが、いろいろなところから聞こえてくる評判は、どうもそうではないと思われたので買ってみることにした。まだ30ページくらいしか読んでいないが、ザッハリッヒというのだろうか、感傷を排した論調の本であるように思える。