北方水滸伝を読み出したのは、この本が何か賞をとったのがきっかけだが、もう一つ昨年読んだ山田風太郎「妖異金瓶梅」がめちゃ面白く、この「金瓶梅」という好色譚の主人公が実は「水滸伝」の作中人物でもあるということを知って不思議に思ったということがある。その疑問は高島俊男氏の「水滸伝の世界」を読んでとくことができた。要するに「水滸伝」の中の面白いエピソードを徹底的にふくらませて「金瓶梅」を作ったということらしい。それで北方水滸伝にも藩金連と武大はでてくるのだが、西門慶はでてこない。しかも、武大は「愛」などというものに悩んだりするし、藩金連はあっけなく死んでしまう。山田「金瓶梅」のほうがよほど面白い。どうも北方氏は男女の方面は苦手なようである。ハードボイルドというのはみんなそうなのであろうか? 「カサブランカ」のボギーみたいな男ばかりでてくる小説というのも難儀なものである。ということで、北方水滸伝、第三巻途中で停滞中。