12

 この「水滸伝」シリーズ(?)は高島俊男氏の本当の英雄というのは色を好まないのではないかという話から始めた。北方「水滸伝」では、すべての英雄豪傑が色を好まないわけではないが、好むものも、えらく中途半端な好み方なのが困る。大石内蔵助的な弁解をしたり、うじうじと後ろめたい気持ちを感じたり・・・。もっとからっとしろよ!と思う。
 総じて北方水滸伝の英雄豪傑たちはじめじめしている。清澄の気といったものがない。英雄・豪傑に何よりも必要なことは悩まないこと、考えないことであると思う。近代人のように煩悶する英雄豪傑というのは本当に困っちゃうのである。
 大体、英雄豪傑が「愛」なんて言葉を口にする場面では、読んでいてこちらが赤面してしまう。安手のテレビドラマではあるまいし。英雄さんたちは泣いたりわめいたりせずに、ただ無心に暴れていればいいのである。