北方水滸伝

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今日の毎日新聞「今週の本棚」欄に張競氏の北方「水滸伝」評がでていた。これが何がいいたいのかよくわからない文章。というかいいたいことはあまりないのに無理に引き伸ばしたような文章であった。「文明批評の視点から見ると、作家の無意識の地平において…

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丸谷才一・木村尚三郎・山崎正和「鼎談書評」(文藝春秋1979年)を読み返していたら、海音寺潮五郎「西郷隆盛」司馬遼太郎「翔ぶが如く」を論じているところで、山崎正和が「外圧によらざる純内発的な革命というものはかつて存在したことがない。唯一の…

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この「水滸伝」シリーズ(?)は高島俊男氏の本当の英雄というのは色を好まないのではないかという話から始めた。北方「水滸伝」では、すべての英雄豪傑が色を好まないわけではないが、好むものも、えらく中途半端な好み方なのが困る。大石内蔵助的な弁解を…

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数日前の日記に、どうもわれわれの世代は大人になれないのぉ、というようなことを書いた気がする。 それで、辻征夫さんの詩を読んでいたら、 我々にも 若くて どうしようもなく おっちょこちょいな時代はあり それは先日まで続いた感じだが ようやく落着いた…

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今週号の「週刊文春」に「天下の暴論2006」というのがあり、そこに北方謙三氏が「俺たち団塊世代を悪者にしやがって!」というのを(談とあるので多分)しゃべっている。そこで「学園紛争が悪いという。あれが悪いのか!? あれは変革の希望があった。そ…

岩波文庫の「水滸伝」(吉川幸次郎ら訳)を第1巻だけ買ってきた。そのまた三分の一を読んだだけだけれども、これは本当に浪花節の世界。単純思考のお兄さんたちが男を立てるために喧嘩に明け暮れする話。変な正義感がないだけ清々しい。 今週の「週刊朝日」…

水滸伝は梁山泊に集う、よく言えば英雄・豪傑、中立的にいえば無頼漢、悪くいえば盗賊集団の物語であるが、中国における集団というものは、なかなかわれわれには理解しづらいもののように思われる。 高島俊男氏のいう「盗賊」、岡田英弘氏のいう「秘密結社」…

そろそろ書くことがなくなってきたなあ、と思っていたら、今日の朝日新聞朝刊の「読書」欄に池上冬樹氏の北方水滸伝についてのかなり長文の批評がでていた。これでまた書くことができた。天は我を見捨てず(などと馬鹿なことを言ってるね)。 池上氏は、「愉…

北方水滸伝を読み出したのは、この本が何か賞をとったのがきっかけだが、もう一つ昨年読んだ山田風太郎「妖異金瓶梅」がめちゃ面白く、この「金瓶梅」という好色譚の主人公が実は「水滸伝」の作中人物でもあるということを知って不思議に思ったということが…

水滸伝を、というよりも梁山泊という言葉を初めて知ったのは筒井康隆の「俗物図鑑」でではなかったかと思う。週刊誌の連載(週刊新潮?)で、ときどき読んでいただけのうろ覚えであるが、全国から集まった奇人変人たちが梁山泊という会社(だったろうか?)…

相変わらず北方水滸伝を読んでいる。現在第3巻の半ば。段々重たくなってきた。登場人物がみんな真面目なんだもの。敵役まで真面目で魅力がないというのはつらい。やはり敵役は「ふふふ、越後屋、お主も悪じゃのう」という風でないとね。 岡田英弘氏の「この…

北原謙三「水滸伝」を読んでいる。第二巻の終わりのほうで、まだ全体の十分の一くらいのところである。 水滸伝は徽宗皇帝の宋時代を背景にしているのだが、どうもこの小説で語られる国家観というのはえらく近代的である。とても12世紀頃の話とは思えない。…

前日に続き「水滸伝」の話。 北方謙三「水滸伝」を読み始めている。北方氏の本を読むのはこれが初めてだし、まだ第一巻がようやく9割方終わったばかり。ということは、全19巻の二十分の一ばかりを読んだだけなので、こんなことを書くのは明らかに早計なの…

大晦日から北原謙三さんの「水滸伝」を読み始めた。全19巻の第一巻のまだ五分の一くらいで、前途遼遠であるが、それで思い出して高島俊男さんの「水滸伝の世界」を本棚からとりだしてきた。前に読んだ高島さんのこの本で覚えているのは、恥ずかしながら「…