水滸伝梁山泊に集う、よく言えば英雄・豪傑、中立的にいえば無頼漢、悪くいえば盗賊集団の物語であるが、中国における集団というものは、なかなかわれわれには理解しづらいもののように思われる。
 高島俊男氏のいう「盗賊」、岡田英弘氏のいう「秘密結社」、小室直樹氏のいう「ほう」などにはどこか共通しているものがあるような気がする。日本でいえば近いものは、義兄弟、兄弟の杯をかわした人間関係だろうか?
 本来の水滸伝は、日本でいえば清水の次郎長一家の話、大政・小政・森の石松の任侠ばなしのようなのかもしれない。それでは、梁山泊の108人が仲間であることの証というのは何なのだろうか? 
 日本では会社が「秘密結社」であり「ほう」であるのかもしれない。とすれば、「梁山泊」の仲間とは、運命共同体である同じ会社の社員なのである、というのはやはりいくらなんでも強引すぎるだろうか?