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 今週号の「週刊文春」に「天下の暴論2006」というのがあり、そこに北方謙三氏が「俺たち団塊世代を悪者にしやがって!」というのを(談とあるので多分)しゃべっている。そこで「学園紛争が悪いという。あれが悪いのか!? あれは変革の希望があった。そういうものがあったが故に、非常に真面目なものだった。真面目に変革を求め、変革を信じて、そして連帯した。その連帯がよくないというけれど、じゃあ連帯せずに何ができるというんだ」などと吹いている。酔っ払っているのかしら。もし、あれにいいところがあったとすれば、希望をもたず、不真面目で何も信じなかったところにあるのではないだろうか? あの運動に参加して挫折し、そのあと10年くらい沈黙し沈潜して、最近ようやく少しづついろいろな場で発言しはじめている人たちがいる。世にでるのが10年遅かったので昔ならそろそろ大家の年齢でもまだまだ子供である。一生子供のままで終わるというのがわれわれの世代の宿命であるのかもしれないけれども、でもせめて大人子供くらいにはなろうと努力しなくてはいけないのではないだろうか?
 本誌では阿川佐和子との対談にも出て、北方氏大活躍。佐川氏から「カッコいい! 男よのぉ。」なんておだてられて悦にいっている。単純よのぉ。子供よのぉ。阿川佐和子は悪い女よのぉ。
 北方氏の最大の弱点は純文学へのコンプレックスなのである。だから活劇がしめってしまうのである。まだまだ純文学の信者がいるのだ。