2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

橘玲「朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論」(1)

橘さんは日本にときどき現れる確信犯的リバタリアンの一人だと思う。わたくしもまたリバタリアニズムに相当親和性のあるほうだと思うのだが、それ一本鎗でいけないのは、たとえば原口統三の「武士は食はねど高楊枝。全く僕はこの諺が好きだつた」などという…

堀井憲一郎「1971年の悪霊」(5)

最終章である第9章の「左翼思想はどこでついていけなくなったか」は著者の堀井氏の個人史を述べたものである。1958年生まれの堀井氏はわたくしより10歳くらい年下であるのでおのずとその経験が異なるわけであるが、まず堀井氏の個人史から。 1970年…

堀井憲一郎「1971年の悪霊」(4)

第8章は「毛沢東「文化大革命」を支持していたころ」と題され、「文化大革命」が論じられる。 わたくしが文化大革命というと思い出すのは、若者たちが自分たちが糾弾する人間に変な帽子を被せて胸に罪状を書いた紙をつけさせて引きまわしている光景と、天安…

堀井憲一郎「1971年の悪霊」(3)

全共闘世代という言葉が現在でもまだ時々使われているので、全共闘運動というものについて、今の若いひとでもなにがしかのことは聞いているのではないかと思うが、「パリ五月革命」についてはどうだろうか? もっともわたくしだってひとのことは言えないので…

堀井憲一郎「1971年の悪霊」(2)

第3章は「1971年、高橋和巳が死んだ5月」と題されている。わたくしは高橋和巳の著書を一冊も読んでいないので、本来、ここを論ずる資格がないのだが、大学時代の友人に高橋和巳信者がいたので、高橋のことをいろいろときかさせてもらっていて、それな…

堀井憲一郎「1971年の悪霊」(1)

堀井氏の名前を最初に知ったのは、どこかの週刊誌(週刊新潮?)で連載していた「ホリイのずんずん調査」?というコラムでだったと思う。何かの話題について私見を述べるのではなく、とにかく調査してみるという姿勢のユニークなコラムだった。 堀井氏の書く…