K. A. Applegate "Animorphs 3 The Encounter"
[ Scholastic 1996 ]
第一巻が男の子、第二巻が女の子で、第三巻のこれは<鷹>が主人公になる。5人の子供たちが動物に変身して宇宙からの侵入者をたたかう話であるが、子供たちが動物に変身できる時間は2時間以内で、それ以内に人間にもどらないと永久に動物の体のなかにトラップされてしまう。この巻の主人公の男の子は、孤独で身寄りのない少年で、人間に戻ることよりも<鷹>である自由を選ぶ。
動物に変身した子供たちは、体は動物となるが、脳は半分人間、半分動物となる。この巻の話は宇宙人とのたたかいよりも、半分人間、半分<鷹>の子供の苦悩が話の中心となる。<鷹>となった少年は<鷹>の脳が命じる捕食者としての行動を抑制することができないのである。
ここで物語がパラレルになる。宇宙人は<捕食者>として、人間を<餌食>にしようとする。<鷹>になった人間は他の小動物の<捕食者>ともなるのである。さらに、この関係は容易に人間以外の動物を<捕食>するものとしての人間という観点をも導く。
人間が未踏である世界での、動物達の生存のための闘いも描かれる。
”人間的”であるとはどういうことか、という考察もある。
小学生むけの宇宙人侵入物語に、こういうさまざまな視点を入れてしまうのだから、大したものである。
(2006年3月13日ホームページhttp://members.jcom.home.ne.jp/より移植)
- 作者: Katherine Applegate
- 出版社/メーカー: Apple
- 発売日: 1996/08
- メディア: ペーパーバック
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