感想1
梅田望夫氏の「ウェブ進化論 − 本当の大変化はこれから始まる」(ちくま新書 2006年2月10日初版)を読んで面白かったので、しばらく、それに関連して思いついたことを書いていくことにしたい。
著者の梅田氏はいわゆるシリコンバレー族の一人であるらしい。年齢はわたしより丁度一回り下、48歳くらいである。
この本に書かれているのはインターネットがもつまったく新しい可能性ということである。mixiに参加しているかたの多くにとっては当たり前のことが書かれているのかもしれないが(この文章は最初、ソーシャル・ネットワーキングの一つであるmixiの中の日記の記事として書いた)、根っからのアナログ人間であるわたくしにとっては、非常に新鮮な話題ばかりであった。
まず、ムーアの法則というのが紹介されている。要するにIT関連製品の値段がどんどんと下がっていく(対費用の効率がどんどんあがっていく)ということであり、しかもその傾向は未来永劫続くということをいうらしい。とすれば、IT関連に必要なコストはそう遠くない将来においてほとんどゼロになってしまうのではないか、というのが梅田氏の指摘の第一点である。とすれば過去とは比較にならない多くの人たちが、容易に自ら情報発信をはじめるであろう。当然それは玉石混交であろうが、参加人員が多ければ石も多いが、玉もまた多くなる。その玉を自動的に選別してくるようなシステムを、IT革命が、そしてインターネットという構造が、そう遠くない将来準備するであろう、というのが著者の二つ目の論点である。これは既存のメディアのありかたを根底から覆していくであろうと梅田氏はいう。プロとアマの境界があいまいになり、知の世界の秩序は再編されていくであろう、という。インターネットの本当の意味は不特定多数無限大の人たちと知り合うためのコストがほぼゼロになったことにあるともいう。
著者はリアル社会とネット社会というものを対比させる。これはハードとソフトの対立ではない。ハードもソフトもリアル社会に属する。インターネット上に存在する膨大な情報は何ら実体のあるものではないが、それにもかかわらずリアル社会のコストがほとんどゼロになるのと反比例して、集積してくる情報は幾何級数的に増えてきていて、その価値をどんどん増してきている。
日本ではリアル社会のついての議論ばかりであり、ネット社会の構築が世界の将来においてどのような破壊的な力を秘めているのか理解しているひとは非常に少ない。
しかし、世界はリアル社会からネット社会への大きな転換期の入り口にいるのである、と著者は主張する。
不特定多数無限大の人たちと知り合うというのはmixiそのものかもしれない。
ということで、ここで論じるには格好の話題であるかと思うので、以下、しばらく、この本とつきあっていきたい。
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02/07
- メディア: 新書
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