今日入手した本

 竹内薫さんが書いているので買ってきた。竹内さんには「科学の終焉」などの翻訳者として主としてお世話になっているが、日本の科学ライターとしてまともなひとだと思っている。「原発推進派」の烙印を押され、嘘の「安全神話」神話を広めた人間として断罪されることになった苦しい立場について書いているのだが、同時に生後7ケ月の子の父として、おろおろする姿も書かれている。このひと1960年生まれとあるから、50歳過ぎである。うーん。
 あと、石井光太というノンフィクション作家の書いている文がいろいろと考えさせられる。
 
働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)

 例の「2:8の法則」(ある集団のあげる利益の8割はその集団のたった2割の人間がもたらしているとかいう話)といったものをあつかったものかと思ったが(それへの言及もあるが)、「真社会性生物」(繁殖を専門にする個体と労働を専門にこなす個体(アリでいえば働きアリ)からなる、コロニーと呼ばれる集団をつくる生物)の研究者による進化生物学の最新の動向についてのわかりやすい報告のようである。「利己的遺伝子」研究の現状といった方向であろうか? 昨年末に出版されていたらしいが、知らなかった。本日購入したのは第7刷である。結構売れているらしい。
 
生物学的文明論 (新潮新書)

生物学的文明論 (新潮新書)

 著者の本川氏は、かつて「ゾウの時間 ネズミの時間」で評判になったひとである。3・11を意識して書かれたものではないと思うが、いやでもそれを考えさせてしまう。「(人間は)、莫大な資源とエネルギーを使っているのですが、おかげで環境問題が生じてしまい、天国どころか、地獄に落ちそうなのが昨今でしょう。・・逆にナマコは、省エネに徹して天国をつくってしまった。・・サンゴもナマコも、われわれとはまったく違った世界をもっています。そういう世界には、私たちの常識的な見方は通用しないことも多いです。こういう世界と付き合ってみるのも、必要なことだと思うのですね。」
 ということで、巻末には本川氏作詞作曲による「ナマコ天国」なる歌の楽譜が収められている。著者はなかなか変わったひとのようである。「見ない 耳ない 鼻もない 筋肉あっても 超少ない 見ててもさっぱり 動かない これでもナマコは「動」物かい?・・見ない 耳ない 鼻もない 心臓なければ 脳もない 脳死が死ならば 生きてない これでもナマコは「生」物かい?・・」