最近のウクライナの戦争についての報道

 最近のウクライナの戦争についての報道をみていると、ロシアの側が100%悪く、ウクライナの側が100%正義とするものばかりである。「盗人にも三分の理」ということもあるから、世におきるあらゆる出来事で一方が100%正しく、もう一方が100%間違っているなどというということはないと思うのだが・・・。
 プーチン氏を盗人といっているのではない。氏は今のわれわれにはもはや受けいれがたい何かを信じているのであって、それは宗教のような何かであり、ロシアの大地といったものであり、総じて西欧が長い時間をかけて克服しようとしてきた何かである。

 今のロシアが経験していることは、おそらく、わずか80年ほど前の日本人の多くが体験したことでもある。
太平洋戦争開戦時に、頭の上に乗っていた重しが一気にとれ、晴れ晴れとした清々しい気持ちになったということを多くのひとが述べている。
 要するに、西洋というのが偽善の固まりに見えていたのである。

 この200年、西欧は世俗化してきた。ということは宗教を否定しようとしてきたわけであり、何が正しいかはわからないということが正しいとしたわけである。
 とすれば、ウクライナの側が100%正しいとすることはそもそも西欧の理念に反するのではないだろうか?

 わたくしはウクライナのことなどはまったく関心なくきたので(またソヴィエト崩壊後のロシアについてもまったく無知であったので)、現下の状況につき、なにも言えることはないが、地理的にウクライナは西欧に近いために、その価値観が浸透しやすく、それでそれの中に入りたいという思いが強く(NATOへの加入志向など)、それがロシアから見れば許しがたいということになるのだろうと思う。

 今戦闘の場になっているウクライナの東側に住む人々は長い歴史からロシア語もウクライナ語も双方話せる人も多く、どちらの側が権力を握っても生きていける人も多いというようなことはないのだろうか?

 わたくしは15歳くらいからずっと西洋啓蒙思想の信者として生きてきたと思う。あとから考えればではあるが、全共闘運動というのは反=啓蒙の運動であったと思う。もっと大きく見れば、マルクスの思想というのも反=啓蒙の思想であると思う。
 だから、ソヴィエトが崩壊した時に、多くの人が啓蒙の思想がついに勝利したと思ったのではないかと思う。
 しかし、学者さんはいざしらず、日々を懸命に生きているひとにとっては、西欧の勝利とはスタバやマクドナルドで自由に飲食できることなのかも知れない。そうだとすればスタバやマクドナルドは西欧の先兵としてロシアから撤退しない方がよかったのかも知れない。しかし、かりにロシアに残っても、西欧の頽廃の象徴として追い払われただろうか? あるいはロシアの人々が「欲しがりません。勝つまでは!」と言って、不買運動をおこしただろうか?