2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

村上春樹「1Q84」 (終)雑感いくつか

新潮社 2009年5月 青豆と天吾 「1Q84」についてみなさんどのような感想をもっているのだろうと思い、インターネット上でいくつか感想をみていて、finalvent という方の評で、青豆の物語は天吾の書いている小説の世界なのだということが書いてあるの…

村上春樹「1Q84」(4)エルサレム賞受賞スピーチ

新潮社 2009年5月 われわれはなぜ小説を読むのだろう? もちろん、こういう疑問はすでにおかしいので、小説を読まないひとはたくさんいる。立花隆氏はどこかで、作り話など読むひとの気がしれないと言っていた。吉田健一氏も、何かいいたいことがあると…

今日入手した本

N・タレブ「ブラック・スワン」ダイヤモンド社 2009年6月 以前、同じ著者の「まぐれ」を読んで大変におもしろかったから。ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日…

今日入手した本

水村美苗「日本語が亡びるとき」 筑摩書房2008年10月 水村美苗「日本語で書くということ」 筑摩書房2009年4月 水村美苗「日本語で読むということ」 筑摩書房2009年4月 3部作?日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で作者: 水村美苗出版社/メ…

村上春樹「1Q84」(3)宗教について

新潮社 2009年5月 1995年3月の地下鉄サリン事件のとき、わたくしの勤務する病院にも何人かの患者さんが搬送されてきた。外来診療をしていたら「地下鉄でガス爆発事故があり、負傷者が何人かここにもきます」という連絡がはいった。ふーんと思って…

村上春樹「1Q84」(2)物語について

新潮社 2009年5月 大塚英志氏に「物語の体操」というちょっと変った本がある。小説の書き方指南と称するもので、文章技術の部分は無視して、どうやって〈おはなし〉をつくるかに焦点をしぼったものである。そこに蓮實重彦氏の「小説から遠く離れて」で…

今日入手した本

橋本治「大不況には本を読む」 中公新書ラクレ 2009年6月 こういうタイトルだが、話は例によって、日本は手工業に戻るべしというものらしい。大不況には本を読む (中公新書ラクレ)作者: 橋本治出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/06メディア: …

村上春樹「1Q84」(1)あらすじ

新潮社 2009年5月 いま非常な評判になっているから、いまさら紹介するまでもないだろうが、村上春樹の「海辺のカフカ」以来の長編小説である。非常にいろいろなことを考えさせられる作品となっている。読者によりこの小説からうけとるものは様々であろ…

鹿島茂「吉本隆明1968」 (6)結論

平凡社新書 2009年5月 「少し長めのあとがき」で鹿島氏はトッドの「帝国以後」とハインゾーンの「ユース・バルジ」論という人口動態学の本を紹介し、それに依拠して、「われわれ団塊の世代とは、「飢えや文盲の克服」がうまくいったあとに大量に誕生し…

鹿島茂「吉本隆明1968」 (5)大衆の原像

平凡社新書 2009年5月 1960年代における吉本隆明の最大の魅力であり、吉本氏が多くの信者を獲得した理由となったのは、論戦において論敵をばったばったとなぎ倒していくその舌鋒の鋭さ、その啖呵の小気味よさにあったのだと思う。そのときに使われ…

今日入手した本

P・バーク「ルネサンス」 岩波書店 2005年11月 最近読んでいる「ヨーロッパ史入門」の一冊ルネサンス (ヨーロッパ史入門)作者: ピーター・バーク,亀長洋子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/11/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 ク…

今日入手した本

G・ヴィーコ「新しい学」 法政大学出版局 2007年 ギンズブルグの「糸と痕跡」を読んでいたら、どうもこの本を読まねばいけないような気がしてきた。しかし、難しそうな本である。新しい学〈1〉 (叢書・ウニベルシタス)作者: ジャンバッティスタヴィーコ…