立花隆「「田中真紀子」研究」

  文藝春秋 2002年8月10日 初版


 こういう題名になっているが、実は田中角栄研究で、田中真紀子は刺身のツマ。
 日本の現在の政治が、そして経済が田中角栄が築き上げた枠組みの中で動いているということが非常によくわかる。そして小泉純一郎のしていることの意味というものとてもよく見えてくる。
 田中真紀子は西欧流の合理主義者で、自民党を西欧型の政党にしていこうとしている。そして、彼女の欠けているのがチーム・リーダーとなる資質である。
 それは確かにそうなのかもしれないが、西欧流の合理主義者が日本社会においてチーム・リーダーになるというのは途轍もなく難しいことなのではないだろうか?
 西欧合理主義は何よりも個人主義に基礎を置くのに対して、日本社会の根本が集団主義であるからである。個人主義者たちからなるチームがあり、そのリーダーが求心力をもつ人間として各成員をひっぱっていく、そういうようなことがどのようにすれば可能なのであろうか?


2006年7月29日 HPより移植