Roald Dahl 「Danny the champion of the world 」

 [Penguin 1975年初版]


 これもダールの子供むけの本。
 ダニーは父親と二人で暮らしている。大変いいお父さんなのだが、ただ一つ困った趣味があって、それが密猟なのである。いけすかない金持ちが管理している山の雉を密猟することが趣味なのである。密漁といっても銃を使うわけではなくて、そのために考案する奇想天外の方法が本書の読みどころの一つとなっている。ダールはこういう変なことを考えるのが大好きな様である。
 ダニーのお父さんもそして作者も密猟を悪いことだとは全然思っていなくて、命をはったスポーツとでもいった趣である。そしておまわりさんも、村の多くのひとも、ダニー親子の味方である。
 日本でこういう本を書けるだろうかと思う。ダニー親子のやっていることは犯罪すれすれあるいは立派な犯罪である。そういうことを肯定した児童書を日本で書けるだろうか? 大体差別用語狩りにひっかるところがたくさんあるように思う。日本もいろいろと不自由な国である。
 最後に作者自身の後書きがある。「将来、Stodgy な親なんかになってはいけないよ。Sparky な親になりなさい。子供がよろこぶのはSparky な親なんだから」ということである。しかしこんなSparky な親なんて日本にはいないよなあ、と思う。少なくとも都会には。田舎にはまだいるのだろうか?