Doald Dahl 「 Boy Tales of childhood 」 

   Puffin 1984

 ダールの自伝の前半(後半は「Going Solo 」)であるが、自伝にかかれるべき自己形成についはほとんどなにも書かれておらず、ほとんどの部分が、子供時代に大人や年長の人間からうけたいじめとひどいしうちについてであるという異様な本である。
 小学校から中等教育にかけてでてくる教師というのは子供をいじめることだけを生きがいにしているとしか思えないとんでもない人間ばかりである。また寄宿制度の学校の上級生のいじめというのもとんでもないもので、このころのイギリスの学校制度というのはどうなっていたのだろうと思う。
 こういうのを読んでいると日本の軍隊における内務班のいじめとか、嫁姑問題におけるいじめなどというのは普遍的な問題なのかなあなどと考えてしまう。
 これらの経験が名作「マチルダ」などに結びついていくのであろうことは容易にみてとれるが、この子供時代の経験がダールの一生を大きく規定しているのかと思うとダールというのは随分と執念深い人間であるのだなあと思う。「マチルダ」なども、一種の筆誅なのかもしれないのである。