レオポール・シュヴォ 「年を歴た鰐の話」

   文藝春秋社 2003年9月15日 初版


 シュヴォ作というより山本夏彦訳ということで買った本。おそらく売り出す側も山本氏の訳ということを最大のセールス・ポイントにしているであろう。山本夏彦氏の本を読んでいると、ときどき、今は絶版の本として、この本の話題がでてきていた。それで何となくどんな本なのかと気になっていた。それがようやく再刊された。もとの翻訳は昭和16年刊行らしい。
 しゃれて皮肉な、ちょっとシュールな短編集である。べつに寓意があるというようなものではなくて、ある種の苦さを味わえばそれでいいというようなものであろう。
 山本信者の間での伝説の本がようやく普通に読めるようになったわけである。