片岡義男 「文房具を買いに」

   東京書籍 2003年8月13日初版


 さまざまな文房具を材料にした写真集(文章つき)といった本。
 わたくしも、かつては文房具に凝っていた時期があり、銀座の伊東屋にかよっていたことがあるから、こういう本で写真を見ているだけでもとても楽しい。
 文房具はそれほど高いものではないし、使わずにおいておいて、目でみてるいるだけでも楽しいし、いざとなればもちろん実用品でもあるわけである。そういう、目で見る文房具という観点からの文房具の本である。だから「文房具を買いに」ということになる。使わなくてもいいのである。そういう趣味の女性っているのだろうか? どうも男の趣味のような気がする。
 片岡氏の小説は苦手で全然読んでいないが、「日本語の外に」などの文明論はとても面白い。この「文房具を買いに」には文明論というほどのものはないが、それでも、そこかしこに片鱗はみえている。