Dylan Thomas 「 A Child's Christmas in Wales 」

   New Drections 1954年初版?


 アマゾンでたまたま見つけてとりよせたもの。20ページくらいの版画入りのかわいい本。たぶんクリスマスシーズンの贈り物をあてこんで作られたものではないかと思う。ディラン・トマスが生まれ育ったウエイルズの子ども時代のクリスマスの思い出を語った本。といってもトマスの英語がよくわからないので細部については判定不能。育ったのは寒い雪の多い海沿いの町らしい。海に吸い込まれていく雪というのは豊かなイメージを喚起するものである。
 むしろ、それと同時にとりよせた「Dylan Thomas at The BBC 」というCDのほうが面白かった。トマスがBBCに残した詩や散文の朗読を二枚のCDにしたもので、有名な「A Refusal to mourn ・・・」や「Poem in October 」などの朗読が入っている。朗読は感情のこもったというか、随分と芝居がかったというか、抑揚の激しいというか、とにかく大袈裟なものである。それにくらべると日本の詩の朗読などは随分と大人しいものだなと思った。もっとも「A Refusal to mourn ・・・」の最後の「 After the first death, there is no other 」は声低く消えいるように読むのだが。ここにははいっていないけれども「 Do not go gentle into that goodnight 」などはどのように読むのだろうか? もちろん詩も散文もテキストを見ていなくてはほどんど聞き取れないのだが、それでも英語というのが詩にむいた言語であるなあ、ということは痛感する。子音の強さと激しさ! 中学などで英語をはじめる前にまずこういうCDをきさせたらどうだろうか? ちんぷんかんぷん意味不明であっても、日本語とは全然違う言語であることだけはわかるであろう。「声に出して読む日本語」とかいう本がはやっているが、どうかんがえてももっと声に出すべきなのは英語のほうであろう。それにくらべたら日本語は断然、目で読む言語である。そもそも漢字が目で読むためのものなのだから。