4 ブログ

 ブログが一般化して、今まで言葉を発信してこなかったたくさんの人が発信をはじめた。大部分はゴミかもしれない。しかし、100人に一人面白い人がいれば、分母が大きいだけにインパクトがある。今までメディアで発言していたひとは、「選ばれた人」ではなく、「たんになりゆきでそうなっただけ」なのかもしれない。ブログの上層1%の力量はこれまでメディアで発言してきたひとの能力にまさるとも劣らないかもしれない。そして、発言している市井の人の中で能力をもつひと同士を紹介仲介する仕組みができるならば、これは途方もない未来につながるかもしれない。米国でのブログは両極化した上の層が語ることでなりたっている。日本では教養ある中間層の厚みと質の高さがこれからのブログをリードしていくのかもしれない。ブログは世界を3層化する。エリート対大衆ではなく、その中間に「発言する中間層」が出現する。ブログはこれからの名刺代わりになっていくであろう。会社の肩書きから、自分がどんな人間かはブログを見てくれという時代になるであろう。
 
 以上の梅田氏の説明を読んで、今わたくしはHPをもっているが(野口悠紀雄氏の扇動による)、今ならばブログをはじめたのだろうということを感じる(たぶん、ここに書き込んでいるのもブログの練習である。ブログはオープンでなければいけないが、mixiはクローズドであるので、ここで梅田氏がいっている機能は十全にははたせない)。
 すでにウェブ上の文章が注目されて著作が世にでるようになった人は多い(内田樹氏など)。梅田氏もいうようにウェブ上での文章執筆で“食える”ひとはまだほとんどいないであろう(既存の出版形態でも“食える”ひとは少ないのであろうが)。しかし、それで“食う”のではなく、とにかく、自分の意見をオープンにして、他人に見てもらえる批評してもらえる可能性のある場ができたということは画期的なことである。少なくとも自費出版などよりは格段に“流通”にのる可能性が高い場ができたわけである。
 それを実現させてきている検索エンジンというもののもつ力ということには、梅田氏の本を読むまでは思い至らなかった。単なる便利な道具というだけではないのである。グーグルという会社のもつ途方もない展望についても本書を読んで一驚した。本当にしらないことは多い。