
- 作者: テリー・イーグルトン,大橋洋一,小林久美子
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2010/05/25
- メディア: 単行本
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この本はドーキンスやデネットたちを批判したところもある本らしい。確かにドーキンスらの宗教批判は滅茶苦茶で、それというのも相手にしているのが創造論者という箸にも棒にもかからない連中だからなのであるが、そういう人たちを批判しているうちにどんどんと議論のレベルが落ちてきて、相手と同じ土俵で下らない水掛け論に終始するようになってしまっている。そういう箸にも棒にもかからない連中が世論を左右する大きな力をもっているのだからせざるをえないというのがドーキンスらの主張なのであろうが、それはアメリカ文化の成熟の問題であって、ドーキンスらがどうこういってどうにかなる問題ではない。もちろん、これからアメリカという国が成熟するとはかぎらず、啓蒙以前に逆戻りしてしまうかもしれないし、それはそれでしょうがないのだが、少なくもドーキンスらが売っている喧嘩はアメリカという国を成熟させるのに資するところがあるとは思えないので、むしろその未熟を固定させるほうに加担しているのではないかと思う。どう考えても、ドーキンスらの議論には原理主義的でファナティックな色調がつきまとっている。S・J・グールドなどとの喧嘩がちょうどいいので、創造論者などというのは放っておくしかない。
そういうドーキンスなどを相手にすると、イーグルトンは冴えるようで、まだぱらぱらと読んだだけだが、面白そうな本である。

- 作者: 中井 久夫
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2010/09/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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