今日入手した本

宇宙が始まる前には何があったのか?

宇宙が始まる前には何があったのか?

 少しも理解できないにもかかわらず、この手の本を時々読んでいる。
 読むのはこれからであるが、「あとがき」を書いているのがリチャード・ドーキンス(この人は生物学者であると思うのだけれど)で、最後にある10個の「著者との一問一答」の最終質問「あなたは無神論者ですか?」に、著者は「友人のクリストファー・ヒチンスがそうだったように、わたしは反神論者なのである」と答えている。このヒチンスという名前は、「宗教とは何か」でイーグルトンが「リチャード・ドーキンスとかクルストファー・ヒッチンス−以後、面倒なのでこのふたりを単一の記号でくくって「デッチキンス」と呼ぶ」などといって徹底的に嘲笑の対象にしているひとなのだろうと思う。イーグルトンの本を読むかぎりにおいては、この二人(あるいは記号化されたデッチキンスさん)の完敗である。
 ヒッチンスの本は何も読んでいないが、「虹の解体」「悪魔に仕える牧師」「神は妄想である」でのドーキンスは無残である。「宇宙が始まる前には何があったのか?」というのは純粋に物理学の問いであると思うのだが、p19には「わたしは、「宇宙が誕生したからには、造物主が存在するはずだ」という、あらゆる宗教の基礎にある信念を支持していない」という記載がある。生物学者であるドーキンスが全然畑違いの宗教の問題に口をだして虚仮にされ、物理学者であるはずの著者が宇宙の起源を論じる本にこんなことを書かねばならないのだから、そしてドーキンスが「『種の起源』に匹敵する、宇宙論パラダイムシフト」などという「あとがき」を書くことになるのだから、つくづくと西洋というのは難儀なところだと思う。
 
嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 最近の若いかたを見ていると、失敗すること、人から嫌われることへの極端な警戒があるように思う。産業医療の場で新型うつといわれる症例を多くみるようになって対応に苦慮しているので、何かの参考になるかと思って買ってきたのだが、読んでみるとアドラー心理学の入門書であった。平易に書いてあって、もう八割方は読んでしまったが、今のところの感想は、安倍首相が喜びそうな本だな、というもの。ポパーの自伝「果てしなき探求」にマルクス主義フロイト精神分析とアードラ-の「個性心理学」が並べて独断的として批判されているのを読んで以来、ポパー信者のわたくしはアードラーがどのようなことをいっているかも知らずにきた。本書を読むとそれについて、ある程度は知ることはできそうである。内田樹さんの「雪かき仕事」の話をちょっと思い出した。
 
自己が心にやってくる

自己が心にやってくる

 ダマシオの本の翻訳はみなもっているのではないかと思うが、この本が刊行されているのは知らなかった。書店で偶然みつけて買ってきた。ゲージの症例というのを知ったのもダマシオの著作によってであるし、ソーマーティック・マーカー仮説というのは内田樹さんの身体論とも通じるところがあるようにも思っている。
 山形浩生さんというかたはいろいろな方面の本を訳すかたである。