今日入手した本

「昭和」を送る

「昭和」を送る

統合失調症の有為転変

統合失調症の有為転変

 後者の最初に以下がある。1977年、学会で当時の東大精神神経科の教授と会ったとき、その教授問えらく「分裂症の長期予後を決めるものは何なるか?」 中井氏答えていわく「そは運らなん。」
 「医者に会うのも運のうち」と。本当にそうだなあと思う。
 「「昭和」を送る」という文は昭和天皇の死のときに書かれたものだが、今回の本ではじめて収載。その事情も付記として書かれている。ちょっと別の方向の文章を想像していて読むのをためらっていたのだが、全然違っていた。随分とドライな文であった。もっとウエットなものかと思っていた。中井氏は鬱屈したものを膨大に抱えているひとなのだろうなあと感じる。
 「昭和」のほうのあとがきに、氏は奥さんとともに介護付有料老人ホームに昨年から入居していると書いてあった。うーん。そういうところでも知的な作業はできるのだろうか? 氏の膨大であるであろう蔵書が周囲においてあるとは思えないし、どうやって文章を書いているのだろうか?