今日入手した本
- 作者: 中井久夫
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2011/04/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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以前に刊行された「1995年1月・神戸」という多くのひとが寄稿している阪神淡路大震災の記録の中の中井氏が執筆した部分である「災害がほんとうに襲った時」に、今度の東日本大地震に際しての中井氏の感想を加えてやや薄い一冊の本として刊行されたもの。最近、この手の本が多い。
氏はいう。「災害発生の数日前の新聞を読み直すと、何とやくたいのない記事ばかりが並んでいることよ。相撲の八百長から、隣の朝鮮人のおばさんに中学の時から可愛がってもらって、おこづかいを貰ったことで外相の首が飛ぶとか、そういった記事である。この津波が押し流してほしいのは実は多数の愚劣事である。/ 政治家も久ぶりに現実と相渉る日々となって、鍛えられるであろう。経験を積まれる機会である。戦争ではなく、天災が政治家の現実感覚、責任感覚を育てるならば、それが天災のもたらした最大の遺産であろう。世界的に政治家が不足しているが、日本の枯渇ぶりはひどかった。」
日本の医療もやはりかなり現実感覚を喪失しかかっていて、相撲の八百長なみにどうでもいいことがさも重大事であるかのように扱われていたのではないかと思う。この天災が医療についてもわれわれが現実感覚をとりもどすきっかけになればいいのだが・・。