(19)2011・4・21
たまたま日本医科大学の救命救急担当のかたから話をきく機会があった。以下、一部わたくしが誤解しているところがあるかもしれないが、認識をあらためたところがあった。
今回の大震災に際しては、災害に備えて組織された救急医療の舞台はかなり迅速に対応できた。当日あるいは翌日にはかなりの部隊が現地に入っていた。これらの救命救急の部隊は超早期の対応のためのものであるから3〜5日のうちには想定された業務をおえたが、現地の医療機関の崩壊といった事態のために、ひきあげることができなくなり、さまざま名称をかえて現地の医療サポートを継続することになった。当初は情報も少なく、それぞれがほぼ自発的に必要と思われる地域にむかった。つまりこれは誰の命令でもなく動いていることになる。
現在、福島の20〜30キロ圏内に関しては、患者の移送などすべて国が責任をもっておこなうことになっている。しかし、その外にある医療機関が震災の直接間接の影響、風評の影響などさまざまな原因によって医療活動の縮小あるいは閉鎖においこまれたとしても、そのカバーについては国は責任をもっておらず(あるいは責任を持つことができず)、そこからの患者の移送、そこにある医療機関への人の強制的な配置といったことに国はなんらかの強制権をもってかかわることができないらしい。
いわゆる非常事態宣言的なことになっているのは福島の原発事故の周囲だけで、あとはそれぞれの自発的な行動にまかされているらしい。したがって、これからようやく民間の組織による効率的な人の配置にむけての動きがでてくるところなのだそうである。
わたくしはてっきり現在の東北地方は、国によって非常事態として平時とは違う動きがおこなわれているように思っていた。原発周囲を除いては平時ということのようなのである。