(28)2011・5・21 わからないこと

 
 最近の報道をみていて、わからないことが多い。
 原発津波の前に、地震だけで構造の一部が破壊され、放射性物質の漏洩などは津波がなかったとしても、ある程度はおきていたのだろうか? それとも地震で構造の一部が破壊されたとしても、それだけでは漏洩につながるようなものではなかったのだろうか? 電源の喪失がすべてであったのか? 電源の喪失がおきなかったとしても、ある程度の範囲の避難を要する事態ではあったのだろうか?
 現在10キロ、20キロ、30キロ圏の避難というのは、原発の事故が収束するとすれば解除される可能性のあるものなのだろうか? それともすでに飛散した放射性物質による土壌の汚染などによって、除染などの積極的な措置おこなわない限り、解除できないものなのだろうか? 最初に、避難勧告は新たな水素爆発などの突発的なできことがおきる可能性を想定してなされたのだが、その後そのような事態はおきていないにもかかわらず、事故数日内におきた爆発などによってすでに広範に汚染されてしまい、結果的に避難措置を継続せざるをえなくなっているということなのだろうか?
 これらの判断は最終的には微量の放射線への長期被曝が健康にあたえる影響という問題に帰着してしまうのであろう。しかし、これについて万人が納得するデータが存在しているとは思えない。それならばそれは政治的に判断される事項なのだろうか? この地域には50歳以上のひとは住み続けていいが、それ以下の年齢のひとはいけないなどということはありえないであろう。
 わたくしの理解しているところでは、日本全国の大部分の病院の運営は自転車操業である。先月の収入を今月の支払いに回すのに近い運営であるか、それすら成立せず、赤字部分を自治体などが埋めていて成り立っているところがほとんどである。夕張市などは病院の赤字が自治体の破綻の大きな原因となったらしい。いずれにしても、資金に余裕があるなどというのは例外である。病院が被災し、1〜2ヶ月診療ができず、収入が途絶えたら、すぐに立ち行かなくなってしまうのではないだろうか? 病院の建屋の将来の更新にそなえて着々と資金を蓄えているなどという病院はまれである。とすると今回の震災である程度の損害を被った病院をどのように維持再建していくかというのは、気の遠くなるような課題である。テレビを見ていたら、大きな被害をうけた地域のかたが、その地にとどまるか、離れるかの判断の材料の一つとして、病院がその地に再建されるか否かということを挙げていた。もともと医療過疎、医師不足に悩んでいた地域である。病院がかりにできても、そこに医師がいないという事態もありうる。
 近年、医療界では医師の絶対数が不足しているのか? それが偏在しているのが問題なのかという議論が繰り返されてきた。今度の震災はその議論にも非常に大きな影響をあたえると思われる。働いていた病院が被災し働く場を失った医師に、日本全国からこちらの病院に就職しないかという申し出が殺到しているという噂をきく。