
- 作者: 吉田健一
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/07/08
- メディア: 文庫
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つい最近出たものらしい。偶然本屋でみつけた。すでにかなりの部分は原書房版の全集などで読んでいるようであるが、文庫で読みなおすのもいいかなと思って買ってきた。解説を書いている苅部直氏は東大の政治学の教授らしい。ということで、本書は吉田氏の政治論??を主に集めた随筆集。
そこの「知識人批判」という文章に引用されている中島健蔵氏の文、「おそらく福田(恆存)は、第五福竜丸の乗員は別として、日本人はだれ一人原子病にかからなかったではないかというかもしれない。ところが、人工放射能の影響は、十年先、二十年先にならないとわからないのである。東京ではマグロの検査をやめたというが、もう安全という確証は一つもないのである。だから、あの騒ぎを体験した人間は、いまでも、恐怖から完全に解放されているどころではない。」
「日本人であることの不安」という文も面白い。あんなに世界遺産の指定にこだわったり、女子サッカーがどうとかに興奮したり、アメリカの野球の試合から日本人がでる場面だけ紹介したり・・。吉田氏が書いたころと少しも変わってはいないなと思う。