日高敏隆さんのいろいろな翻訳
1980年代に読んだ宇宙論とか数学の話を前回とりあげたが、そのころ読んだ生物系の本は圧倒的に日高敏隆さんの訳本が多かったことを本棚をみてあらためて感じた。
まずA・ケストラーの「機械の中の幽霊」。おそらくいわゆる「反還元論」「全体論」「ホーリズム」に属する系統の本で一番はじめに読んだのが本書ではないかと思う。
![機械の中の幽霊 (ちくま学芸文庫) 機械の中の幽霊 (ちくま学芸文庫)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/517YEGRVF3L._SL160_.jpg)
- 作者: アーサーケストラー,Arthur Koestler,日高敏隆,長野敬
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1995/06
- メディア: 文庫
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それから動物行動学に属する本。ローレンツの「攻撃」「ソロモンの指輪」「文明化した人間の八つの大罪」などや、アイベル=アイベスフェルトの「愛と憎しみ」など。それからD・モリスの「裸のサル」などもこの系列であろう。動物を観察しているだけでノーベル賞というのもびっくりしたし、笑顔というのが学習するものではなく生得的なものであるとか、あるいは現在ではかなり批判があるらしいが、死ぬまで殺し合いをするのは人間だけであるとかにもへーと思った。
![攻撃―悪の自然誌 攻撃―悪の自然誌](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51-W2xixwRL._SL160_.jpg)
- 作者: コンラート・ローレンツ,日高敏隆,久保和彦
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1985/05/01
- メディア: 単行本
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![ソロモンの指環―動物行動学入門 ソロモンの指環―動物行動学入門](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/518vn%2BsZhKL._SL160_.jpg)
- 作者: コンラートローレンツ,日高敏隆
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1987/09
- メディア: 単行本
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![文明化した人間の八つの大罪 (1973年) 文明化した人間の八つの大罪 (1973年)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/410VREwtdIL._SL160_.jpg)
- 作者: K.ローレンツ,日高敏隆,大羽更明
- 出版社/メーカー: 思索社
- 発売日: 1973
- メディア: 単行本
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![愛と憎しみ―人間の基本的行動様式とその自然誌 愛と憎しみ―人間の基本的行動様式とその自然誌](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51ODB1vXiyL._SL160_.jpg)
- 作者: アイブル・アイベスフェルト,日高敏隆,久保和彦
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1986/04/01
- メディア: 単行本
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![裸のサル―動物学的人間像 裸のサル―動物学的人間像](https://d.hatena.ne.jp/images/hatena_aws.gif)
- 作者: デズモンド・モリス,日高敏隆
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1969/11
- メディア: 単行本
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それからドーキンスの一連の本。「利己的な遺伝子」(これは当初「生物=生存機械論」という題で刊行された。これももっている)「延長された表現型」「盲目の時計職人」など。考えてみれば、ケストラーとドーキンスは正反対のひとである。日高さんとしては当時のさまざまな見方を日本に紹介したかったのであろう。
![利己的な遺伝子 (科学選書) 利己的な遺伝子 (科学選書)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41WQG5Z8NCL._SL160_.jpg)
- 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 1991/02/28
- メディア: 単行本
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![生物=生存機械論―利己主義と利他主義の生物学 (1980年) 生物=生存機械論―利己主義と利他主義の生物学 (1980年)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51LhfXSgysL._SL160_.jpg)
生物=生存機械論―利己主義と利他主義の生物学 (1980年)
- 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆
- 出版社/メーカー: 紀伊国屋書店
- 発売日: 1980/03
- メディア: ?
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![延長された表現型―自然淘汰の単位としての遺伝子 延長された表現型―自然淘汰の単位としての遺伝子](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51nbrX68CwL._SL160_.jpg)
- 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,遠藤知二,遠藤彰
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 1987/07
- メディア: 単行本
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![盲目の時計職人 盲目の時計職人](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51TRM5TEPAL._SL160_.jpg)
- 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,中島康裕,遠藤彰,遠藤知二,疋田努
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/03/24
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少し、系統の違ったところでは、ユクスキュルの「生物からみた世界」。これにも決定的な影響をうけた。環境世界とかダニの生きている世界とか。
![生物から見た世界 生物から見た世界](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41BCk7x8q9L._SL160_.jpg)
- 作者: ヤコープ・フォン・ユクスキュル,ゲオルク・クリサート,日高敏隆
- 出版社/メーカー: 新思索社
- 発売日: 1973/06
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一番変わったところでは、シュテュンプケの奇書「鼻行類」。こういう本をわざわざ翻訳するところが日高さんの面目躍如なのであろう。面白がる精神にあふれた人だったのだと思う。
![鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/411BTjy2H3L._SL160_.jpg)
- 作者: ハラルト・シュテュンプケ,Harald Stumpke,日高敏隆
- 出版社/メーカー: 思索社
- 発売日: 1987/04
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それからD・アッテンボローの「地球の生きものたち」。本当に素晴らしい写真集。
![地球の生きものたち (1982年) 地球の生きものたち (1982年)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51cYoiGkEIL._SL160_.jpg)
- 作者: デーヴィッド・アテンボロー,日高敏隆
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1982/03
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日高さんというひとがいなければ、動物行動学などについてわたくしが関心をもったかどか、本当にこのひとにはお世話になったと思う。
「機械の中の幽霊」の共訳者が長野敬さんで、このひとの翻訳も随分と読んだような気がしたのだが、見てみると存外すくなく、L・フォン・ベルタランフィの「生命」やバナールの「歴史における科学」を除けば、A・ブラウンの「はじめに線虫ありき」「ダーウイン・ウォーズ」くらいであった。
長野さんの翻訳のほうが当たり外れが大きかったのであろうか? 日高さんは本の目利きでもあったのだろう。