その6 お勉強・その4

 
 4月から開始したお勉強生活。明治大学での連続講義の第2回目。
 「日本海軍に観る「失敗の本質」」というレクチャー。
 「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」というロングセラーの本がある。山本七平氏の本などから、日本の軍隊組織には日本のさまざまな問題が集約的にあらわれているのではないかという思いがあるので、その関心から以前読んだことがあった。
 主として経営学の方面からの関心などからコンスタントに売れてきた本らしいが、昨年の東日本大震災以来また脚光を浴びているらしい。日本になにか大きな問題がおきると、思い出される本ということのようである。
 東日本大震災をあとから見ると、なんでこんなことをしていたのだろうとか、あるいはしていなかったのだろうといったことがたくさんでてくる。それと同じで、第二次世界大戦での日本軍の行動はあとからみると、なんでこんなことをしのだろうとかしなかったのだろうということが山積である。本当に愚かなことばかりをしていたようにしか見えない。
 しかし日本の組織というのはともすればそのようなあとからみると愚かとしか見えない行動をとる潜在的な傾向があるのではないかということは多くのひとが感じていて(たとえば司馬遼太郎?)、それで何か問題がおきると日本軍が想起され、この本が思い出されるのであろう。
 講師はこの本の著者の一人である杉之尾孝生というかたで、経歴をみるとずっと自衛隊のなかで生きてきた方である。実は、申し込んだ時、熱血的な愛国者といったかただと困るなと思っていたのだが、きわめて常識的でエクセントリックなところはまずなさそうなかたであった。わたくしは自衛隊という組織を敬して遠ざけてきたので、身近でみるはじめての自衛隊関係者であり、(幼少時にみた傷痍軍人をのぞけば)職業軍人ということになる。これまで随分と狭い世界で生きてきたのだなあということを改めて感じる。
 

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)