今日入手した本

本のなかの旅

本のなかの旅

 ときどき「考える人」で丸谷才一氏の対談相手となっていた湯川豊という方、随分と文学にくわしいなあと思っていたのだが、元「文學界」編集長とあった。それで納得。吉田健一の章があったので買ってきたのだが、大岡昇平の章が面白かった。
  わたくしは「恋愛輸入品説」の側だなあと思うので、読んでみようかと。
 明治以前の「恋」は価値中立的というか、いいも悪いもなくただ起きてしまうものだったが、明治以降は価値肯定的というか、いいもの、するべきもの、おきれば周りが祝福するものとなってしまった。そういう明治以降のわれわれの恋愛観は西洋から輸入されたものではないのかと思っているだけであるのだが。
 わたくしが若いころは三島由紀夫の「永すぎた春」ではないけれども、婚約者同士が結婚まで純潔をまもるというストーリーの小説が大した違和感なく読まれていたが(そういう主題でいま小説を書くことは不可能であろう)、昨今では、「子どもが結婚します」「それでいつお生まれで?」「別に妊娠してはいませんが・・」「じゃあ、どうして結婚?」というような会話が普通におこなわれるようになっている。この間、たかだか30年。西洋からの輸入品のメッキがはげてきたということなのだろうか?