今日入手した本

みみずく古本市 (ちくま文庫)

みみずく古本市 (ちくま文庫)

 文庫本だが、この原著はもっているような気がする。本棚の奥を探せばどこかにあるのかとも思うが、それも面倒なので買ってしまった。お目当ては「吉田健一の不思議な文体」。由良氏のいうとおり、健一さんの文章は論理的に考えるとどこか変だが、それにもかかわらず、読むとなんとなくわかる気がするという不思議な文体で書かれている。「覚書」の第3章のわたくしのたいへん好きな部分が引用されていて嬉しくなった(「この点で人間以外の動物は純粋に時間とともにあると言へる。・・・」)。
 ラブジョイの「存在の大いなる連鎖」など、なつかしい本の名前が一杯でてくる。ラブジョイのこの本を知ったのは、荒俣宏さんのなんかの本によってであるように記憶しているのだが、あるいはこの本によってであったのだろうか? 山口昌男氏の本も知らない本ばかりが後から後から出てきて読んでいてひたすら劣等感であったが、本書の印象も山口氏の本のものと似ている。ただもう博覧強記。
 若いころは、こういう本を読むと、あれも読まねばこれも読まねばと思ったものだが、最近はそういう色気はなくなった。自分の限界がわかってくるが年をとることの利点である。