今日入手した本

別れの挨拶

別れの挨拶

 本の帯によれば、丸谷氏「最後の〈新刊〉」。雑文集だが、「近代といふ言葉をめぐって」という比較的長い吉田健一についての論があり、「幸福の文学」という光文社文庫吉田健一「酒肴酒」につけられた解説、「回想 吉田さんと河上さん」という文もある。また三浦雅士氏の「青春の終焉」についての論もかなりは吉田健一論のようでもある。ということで健一ファンのわたくしには読みどころのある本のようである。
 どういうわけか「クヮルテットを聴かう」という弦楽四重奏論がある(おそらく「持ち重りする薔薇の花」の副産物)が、これを読むと音楽についてはあまりわかっていないひとではないかなと思う。
 氏は晩年、文壇の重鎮となり、よいしょするばかりの人に取り巻かれて、的確な批判をしてくれるひとがいない状態になっていたのではないかと思う。それでも本書は以前に書いた文も多数収載されており、その点でも読める文も多くあるのではないかと思う。
 
西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事

西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事

 比較的近くに住んでいるので。今度いってみようかな?