今日入手した本

11/22/63 上

11/22/63 上

 S・キングの最新の長編小説ではなく、すでに数冊がこの後あちらでは刊行されているらしいが、日本での最新の翻訳長編であることは確かである。実はこの本のペーパーバックス版は持っているのだが、例によって10ページくらいで挫折してしまった。わたくしの英語力ではどうも普通の長編小説を読むのは無理らしい。せいぜい「ハリー・ポッター」までである。11/22/63はケネディー大統領が暗殺された日。タイムスリップと歴史改編の話らしい。しかし、とにかく長いので果たして読み通せるかどうか?
 
世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ: エル・システマの奇跡

世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ: エル・システマの奇跡

 「エル・システマ」というベネゼラで1975年に設立された音楽教育プログラムを紹介した本。ここからはグスターボ・ドゥダメルというスター指揮者が生まれ、そのシモン・ボリバル交響楽団の演奏もYOUTUBEなどでたくさん見ることができる(特に有名なのが「マンボ」?)が、政府が資金を提供して子供たちに楽器をあたえ(多くは貧しい家庭の子供)、それによってそうでなければ非行に走り、ドラッグに手を出したであろう子供達に希望と自信を与え、救おうというプログラムである。
 この運動は米国でも展開されているようだし、日本でも細々とは存在しているらしい。著者も書いているように「クラシック音楽は、存在自体が危ういほどにマイナーなジャンルに成り下がってしまった」ので、「米国の音楽教育関係者にとって、デゥダメルと彼を生んだシステマの存在は、驚くべき事実が立ち現れているように感じられた」ということがあるらしい。サイオン・ラトルは「クラシック音楽の将来にとって、最も重要なことが起きているのはベネゼラだ」といっているのだという。クラシック管楽が過去の再現ではなく、現在ただ今のものとしてあるのがベネゼラなのかもしれない。
 
エンニオ・モリコーネ、自身を語る

エンニオ・モリコーネ、自身を語る

 わたくしは映画をほとんど見ないので、映画音楽作曲家としてのモリコーネについて語る資格はないのだが、ヨーヨーマの弾くモリコーネの音楽を聴いて、凄いメロディー作家だなあと感嘆した(それを弾くヨーヨーマの音もまた絶品なのだが)。モリコーネはいう。「調性音楽においては、すでに音の組み合わせはほぼ尽きているということです。・・わたしの仕事は、新しいパラメーターをつくりだすことです。」
 イタリアというところは不思議なところで、有名な映画音楽作曲家がまた有名なクラシック音楽の作曲家であったりする。ニノ・ロータなどもそうで、そのピアノやチェロの協奏曲も砂糖菓子のような甘い旋律をもつ音楽である。日本の作曲家は映画音楽を書くときと自分の「クラシック」音楽を書くときは全然別の音楽を書く。
  仕事の必要で。産業医をしていると、「現代型うつ」といわれるものを避けて通れない。というか仕事の7〜8割方がその対策といっていいくらいである。この「現代型うつ」については医者のなかでも見解がはっきりと分かれていて、そんなもんは病気じゃない、単なる怠けでしょう!とみるものも多い。精神科以外の医者ではその方が多数であろう。精神科の医師もまたそうで、いまわたくしが読んでいる計見一雄氏の「現代精神医学批判」(これはいずれ感想を書くつもり)でも、そんなもの病気なのかねえという感じである。
 本書は今の若い人たちは時代の犠牲になっていて、その一つの表れが「現代型うつ」であるという立場である。著者の吉野氏は、ある職場で一緒に産業医をしているので存じあげている。