今日入手した本 池田信夫 与那覇潤「「日本史」の終わり」

「日本史」の終わり (PHP文庫)

「日本史」の終わり (PHP文庫)

 書店で偶然みつけた本。与那覇氏の本は以前「中国化する日本」の感想を書いた記憶があるし、池田氏の本もハイエクに関する本の感想を書いたような気がする。
 本書はこの二人の対談で、原著は3年前に出たもので、今回文庫化されたということのようである。ということで民主党政権の時代の日本が論じられている。
 まだ1/5ほどを読んだだけだが、両氏ともの本当にいろいろなことを知っているし、いろいろなことに自分なりの意見を持っていることに感心する。
 わたくしとしては、今、文明開化の人・吉田健一について考えているところなので、本書も明治以来の日本の西欧化ということについて今までとは違う切り口での視点を提供しているのかなという興味から求めた。
 キーワードの「江戸時代」のようである。後ろのほうをチラッと見ていたら、
池田「日本の左翼はラディカルでも反体制でもないセンチメンタリズムにすぎない。」
那覇「日本の面白いところは、右翼も左翼も結局はエートスが「江戸時代」だった点だと思います。」
池田「左翼のほうが江戸時代的ですね。」
那覇「だから私は、社会党がメルクス・レーニン主義なんか掲げないで、むしろ「われわれこそ保守主義者だ。・・「江戸時代の伝統のどこに対外戦争があるんだ」って詰め寄れば、右翼は答えられないから。/ 言ってみれば、戦後日本とは「左右合作の江戸時代」だったのです。」
 などというところがあった。
「近代の超克」は江戸時代に還ろうということだったのだろうか?
 今日の朝日の朝刊に、長谷川郁夫氏が「吉田健一」で大佛次郎賞をとったインタービューが載っていて、長谷川氏は吉田氏のことを「士(さむらい)」などといっていた。