今日入手した本 村上龍「オールド・テロリスト」

オールド・テロリスト

オールド・テロリスト

 龍さんがこんな小説を「文藝春秋」に連載していたことを全然知らなかった。2011〜14と足かけ3年の連載らしいが、おじさん雑誌を読まないわたくしの視野の外にあった。
 まず「あとがき」を読んだら、70代から90代の老人が日本を変えようとテロも辞さずと立ち上がるという話しらしい。「文藝春秋」連載・日本を変えようと立ち上がるというキーワードから、「希望の国エクソダス」みたいな話だなあと思い読み始めたら(現在70ページくらい)、なんと語り手は「希望の国・・」とほぼ同じ人物に設定されている。「希望の国・・」は中学生たち。こんどこちらは老人たち。どうも龍さんは現役世代というかエスタブリメッシュメントあるいは既成勢力というのが嫌いで、その下あるいはその上の世代が既成勢力に反乱を起こすという図式を好むようである。わたくしのような団塊の世代は一番の敵となっているのかもしれない。
 「コインロッカー・ベイビーズ」「愛と幻想のファシズム」も破壊する話だし、傑作「昭和歌謡大全集」もそうかもしれない。「69」は破壊ではないにしても出来上がったものへの反乱で、「半島を出よ」でも壮大な破壊がおきていた。
 龍さんは軍事とか兵器というものへの関心も強いと感じる。「五分後の世界」は戦争そのものだし、「半島を出よ」でも兵器への蘊蓄があった。本書でもこれからそれが展開されそうな予感がある。
 といっても今まで読んだところでは「希望の国・・」よりも「イン・ザ・ミソスープ」や「共生虫」に近い印象。