
吉本隆明〈未収録〉講演集第9巻 物語とメタファー: 作家論・作品論〈戦後編〉 (シリーズ・全集)
- 作者: 吉本隆明
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/08/06
- メディア: 単行本
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とにかく文学を読めるひとなのだなと思う。わたくしなどが何も思わずに読み過ごしてしまった部分について、ここはこういうことなんですよ、といっているところを読むと、そうか!と思ってしまう。村上春樹論などというのをたくさん読んでいるわけではないが、吉本氏のような視点から論じている人がほかにいるだろうかと思ってしまう。凄いひとである。
ただ、ざっと目を通した限りで唯ひとつ気に入らないのが、「乳幼児期における母親との関係がその後のその人の無意識を決定する」といったフロイト的な見方が断定的に事実であるかのようにいわれているところで、文学者へのフロイトの影響というのはどうも困ったものだなあと思う。

- 作者: ハンナ・アーレント,森一郎
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2015/06/26
- メディア: 単行本
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アーレントの母語はドイツ語で英語は外国語のはずである。「人間の条件」の解説で訳者の志水速雄氏は本書がアーレントの本の中でも難解とされるのは、母国語でない彼女の英語の文体も一つの原因ではないかと書いている。「人間の条件」はすでに読んでいるのだが、何か凄く大切がことが論じられているということはわかるのだが、膨大にわからないところが残ってしまっている。それで本書を読めば、もう少し理解が進むかなということで買ってきたのだが、それにしても高い本である。津野海太郎氏が年金生活になると買いたい本も買えなくなると書いていた。今のうちに買っておくしかないのかもしれない。