辻原登「籠の鸚鵡」

籠の鸚鵡

籠の鸚鵡

 今朝の毎日新聞の書評欄で三浦雅士氏が絶賛していた。
 辻原氏のものは以前「東京大学で世界文学を学ぶ」だったかを読んだことがあるが、小説ははじめて。
 まだ40ページほどしか読んでいないが、登場人物がインテリでないことだけは確かなようである。辻原氏は丸谷才一の系列のひとだと思うが、丸谷氏の小説で一番いいのは「笹まくら」で、それは主人公がインテリではなかったからではないかと思う。「たった一人の反乱」以降は主人公がインテリあるいはインテリ的な人物ばかりとなって、それで小説が自閉的になり、つまらなくなっていったのではないだろうか?
 この小説には個々の登場人物の来歴とその仕事が詳しく書かれている。吉行淳之介の小説などで主人公がセールスマンなどと書かれていても、いっこうにそうは見えなかったのと対照的である。