坂本忠雄「小林秀雄と河上徹太郎」 神林尋史「屈託という思想 小林秀雄と井伏鱒二」 下條信輔「ブラックボックス化する現代」

 

小林秀雄と河上徹太郎

小林秀雄と河上徹太郎

 朝日新聞の読書欄で紹介されていた。著者は「新潮」の編集長をつとめた方で、河上徹太郎小林秀雄の担当だったことがあるということから生まれた本らしい。「大岡昇平吉田健一との師弟関係」という章があるので買ってきた。もちろん、大岡の先生が小林で、吉田の先生が河上。
 
屈託という思想――小林秀雄と井伏鱒二

屈託という思想――小林秀雄と井伏鱒二

 書店で偶然みつけたもので、「後書きにかえて」で長谷川郁夫氏の「吉田健一」についての感想がひたすら書いてあるのを見て買ってきたのだが、著者は長谷川氏と親しいひとらしいということ以外には、まだざっとしか読んでいないがよくわからない。本文をちらっと読んだ感じではかなり古風な文学青年風の人のように思える。人生いかに生きるべきかという問いをもって文学に向かうというような姿勢のひとである。その姿勢と吉田健一がどう結びつくのかがよくわからない。
  下條氏の本は大分以前に「サブリミナル・マインド」を読んで大変面白かった記憶があるので、書店でみて下條氏の名前と書名が結びつかかった。現代のいろいろな問題を論じているのだが、特に氏の専門の認知神経科学といった観点から論じられているわけではないので、何となく床屋政談という感じがしないでもない。
 それでも、佐村河内事件、小保方事件、大学の論文不正問題、英語教育、五輪エムブレム問題といったわたくしがなんとなく関心をもっている論題がいろいろととりあげられているようなので、読んでみたいとは思う。