高血糖性高浸透圧昏睡(非ケトン性高浸透圧性昏睡)

 自分の病気という個人的なことをここに書いても仕方ないと思うが、糖尿病というのは頻度の高い病気であり、糖尿病でこのブログを見ている方もあるかも知れないので、何かの参考になるかと思い、今回の入院につき簡単に書いてみることにする。
 糖尿病による昏睡というとコントロール不良のまま放置あるいは不十分な治療でいた方におきるのが通常であるが、わたくしの場合はGHA1c・・糖尿病のコントロールの指標・・も7前後と特にコントロール不良というわけではなかった。
 しかしコントロールが悪くなくても、高齢の糖尿病患者の1%くらいにおきる合併症がこの高血糖性高浸透圧昏睡であるらしい。医者のくせに「あるらしい」などとは何事かということになるが、わたくしは大腸がんの化学療法で通院しているので、コントロールの悪くない糖尿病などは通院のついでに経過をもみているという感じであり、主治医ともどもほとんど関心がなく、通院のついでに処方を続けているという感じであった。

 1月30日(月)定期的化学療法で受診。家人によるとその時から何か普段とは違っていたというのだが、夕食も普通に食べられたのでそのまま経過をみた。
 しかし、1月31(火)早朝、明らかにおかしいとして救急車を要請。そのまま救急入院となった。入院時血糖は500以上あったのだそうである。救急車に乗ったあたりからの記憶がなく、救急病棟での記憶、救急病棟から一般病棟への移動の記憶もまったくなく、3日ほどは昏睡・混迷の状態であったようである。その後も幻覚があり、臨床症状としても間歇的に生じる左手の震顫と疼痛があった。糖尿についてもインスリン注射で対応した。血糖値も改善し、退院時は2単位という最小単位であった。2月18日退院、退院後はインスリンはなし、経口剤のみで経過をみている。

 以上のように「高血糖性高浸透圧昏睡」は、1)高齢の糖尿病に、2)特にコントロールの良否にかかわりなく、3)突発的におきる、4)致死率が20%くらいという、おきれば重篤な病状を呈する疾患である。
 経口剤でコントロールできている必ずしも重篤ではない糖尿病においても、高齢であればおきうる(高齢のというのがポイントらしい)ので、高齢の糖尿病の患者さんは要注意ということである。

 これからの高齢化社会においてはますますそうなるのであろうが、老衰以外ではひとが死ななくなる時代というのが、本当に望ましい社会であるのか? それを疑問に感じるひとも少なからずいるのではないかと思う。