新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に引き下げの日の東大病院

 わたくしは今東大病院に通院しているが、たまたま本日が定期通院日で受診の日だった。それで病院のアナウンスを聴いていたら「本日から5類への移行のため従来行っていた入院患者様への面会制限を撤廃し、入院患者様への面会は午後2時から午後7時まで二名様まで(だったと思う)にと変更させて頂きます」というようなことを言っていた。
 わたくしは去年11月、今年1月、2月と計3回東大病院に入院しているが、家人や子供やきょうだいの面会は原則許可されなかった。特に病室での面会には厳格で、入院の日も荷物を置いたらすぐに退出して下さいという感じだった。
 わたくしは複数の科に入院したのだが、科によっても温度差があるようで、推測だが病棟の婦長さんの意向もかなり対応に影響しているのかなという印象を持った。
 最後の入院は救急入院で昏睡状態だったので(後からきいたが致死率が10%位あるらしい高血糖性高浸透圧性昏睡という病気)最初の三日ほどの記憶がないのだが、その様な重篤な状態でも面会は原則不許可だった。
 そういう厳格な制限からいきなり午後2時から7時まで面会許可というのはあまりに唐突な変化で、本当は以前も制限も必要ないとは思っていたのだが、国立の病院だからお上の威光には逆らえないというようなことだったのだろうか? あるいは国立病院機構かなにかで申し合わせかなにかがあった? 私立の病院はどう対応していたのだろう。
 この半年ほどの入院経験では現場のスタッフには本当に献身的に対応していただき、感謝に耐えないことが多かった。もちろん例外もなしとはしないが、印象では自分の技量に自信があるひとほど腰が低く、能力にいま一つ自信がない人ほど居丈高になる傾向があるのかなという感想を持った。
 医者は何かで入院すると、「俺は医者だ」といって威張り散らすひともあるらしい。わたくしは入院中はただの人に徹するようにしていた、それがよかったのだろうか? もう20年以上前、現役の院長時代に胆石手術で数日入院したことがあるが、看護師さんから、「院長先生ってもっと怖い人かと思っていました」というようなことをきかされた。
 ある男のひとが、歳をとって寝た切りになった時、いままで献身的と思っていた奥さんが豹変し「あの時の恨み」「この時の恨み」と針か何かを一本ずつ、ぶすっ、ぶすっとあちらこちらにつきたててきたらどうしようと真剣に怯えていた。
 わたくしは「自分がご主人より先に死ぬと思っている奥様」をみたことがない。