医師の過労の問題

 わたくしは内科医であったので、外科などのメッサ―・ザイテ(メスを持って手術をすることのある科)の医師に比べればずっと楽な勤務体系であったと思う。
 週2回の一般外来、週1回の専門外来、4~5人の受け持ち入院患者というような体制で若い時代を過ごし、院長になってからは受け持ちの患者さんはなしで、外来のみという体制であった。
 土日のどちらかは入院患者さんの顔をみにいっていた。顔をみにいくというのは変な言い方だが、緊急的な処置が必要なわけではないが、何となく世間話のようなことをしにいくというような感じで、平日と異なりゆっくりと時間をとれるので、患者さんの家庭の状況などの情報を得ることが出来たりして貴重な勉強の時間でもあったように思う。
 他の先生受け持ちの患者さんの急変というのは実によい学びの場であるので、しかもそれは夕方におこることもあるので、自分の患者さんの対応が午後5時までに終わったからといって、では帰りましょうとは決してならず、なんかおきないかなあとぐずぐずと病室というか医師の勤務室に居残っていた。
 最近様々な職種での過労が問題となっているし、医師の過労も話題になるが、少なくともその一部は強制されたものではなく、自発的なものなのではないかと思う。
 脳外科の手術などは10時間~20時間もかかる手術も多いらしいが手術前の執刀医はアドレナリン全開という感じで、楽しくて仕方がないという感じである。規定勤務時間を超過するから途中で交代せよなどといったら怒るのではないかと思う。もちろん長時間の執刀は注意力などにも影響するだろうから、管理監督者が適切な指示をすることは必要だろうが、過労というと本人の意思に反して働かされるというイメージがあるように思うが、必ずしもそうではない部分もあるのではないかと思う。
 随分昔の話だが、アメリカの研修医は勤務に入ると3日はそこにいることとされているというようなことをきいたことがある。もちろん仮眠はとるのであろうが・・。