今日入手した本

錯覚の科学

錯覚の科学

 
 著者らはイグ・ノーベル賞受賞者である。基本テーマは「見れども見えず」ということらしい。本書でも紹介されているが、見ようと思って見ないと明らかにレントゲンに写っているものが見えないのである。あるものがないかなと思ってみないと見えない。わたくしも何回も苦い思いをした。あるとわかれば歴然と見えるものが、ないかなと思ってみないと見えてこない。これは、「われわれは世界を見るであって、われわれに世界が見えているのではない」という説の一つの系であるような気もする。ポパーのいう「バケツとサーチライト」理論。
 「神経難語」という言葉もでてくる。わかったような脳の説明で煙にまくという話。そして「脳ポルノ写真」。脳の活動をしめす色鮮やかなスキャン画像(脳がそのような鮮やかな発色をしているわけではもちろんなくて、スキャン画像にはどのような色をわりふることも自由にできる)。神経科学者たちは、これらの画像は脳の理解を深めるよりも、自分の研究の営業ツールとしての意味合いが強いことを自覚しているのだそうである。わたくしなどは脳科学の本を読むのが大好きだから、この営業ツールに随分とやられているのだろうなあと思う。