今日入手した本

父・吉田健一

父・吉田健一

 わたくしは有名なひとの奥さん(時にご主人)とか子供が書いた有名人についての本というをあまり好まない。この本の著者暁子氏は翻訳家ということで、E・ポールの「最後に見たパリ」(吉田健一の愛読書)の翻訳などがあるが、翻訳家として有名というほどではないと思う。やはり吉田健一の娘ということであろう。もう70歳近くの年齢と思われるがいまだに父離れができていないようにも本書からは思えるところもある。何だか母や兄とも微妙な感じである。
 「身内本」としてはそれでも節度がある方かもしれない。健一さんは肺炎で死んだことになっていて、今時肺炎で死ぬかなあと思っていたのだが、「父は六十五で突然、一応肺炎ということで逝ったが」などと微妙なことが書いてある。なにしろ愛煙家であったから、肺がんか何かだったのであろうか。