2006-01-01から1年間の記事一覧

 25 吉本隆明

宮崎哲弥氏の「新書365冊」(朝日新書 2006年10月)を読んでいたら、橋爪大三郎氏の「永遠の吉本隆明」(洋泉社新書y)を評した文があって、その冒頭に「昔、とある作家が、全共闘世代のことを「吉本隆明ファンクラブ」と揶揄しているのをみて大笑…

 24 小野寺健 「イギリス的人生」

小野寺氏の「イギリス的人生」(ちくま文庫 2006年9月)は、もちろん全共闘運動とはなんの関係もない。フォースター、オーウェル、ロレンス、ウォーといった作家を論じた本である。もっとも、文学論ではあるが、イギリス的な生きかたというものがあるの…

今日買った本

平川祐弘 「和魂洋才の系譜」 上・下 平凡社ライブラリー 2006年9月 M・ドラブル 「碾臼」 河出文庫 1980年10月 S・モーム 「コスモポリタンズ」 ちくま文庫 1994年12月 内田百輭 「冥途」 ちくま文庫 2002年12月 D・H・ロレンス…

今日買った本

獅子文六 「てんやわんや」 毎日新聞社 1999年5月 A・ブルックナー 「秋のホテル」 晶文社 1998年10月 A・フランス 「アナトール・フランス小説集 2 神々は渇く」 白水社 2000年9月 A・マンゾーニ 「いいなづけ」上中下 河出文庫 200…

今日買った本

井上章一「夢と魅惑の全体主義」 文春新書 2006年9月 小野寺健「イギリス的人生」 ちくま文庫 2006年9月 須賀敦子「須賀敦子全集 第1巻」 河出文庫 2006年10月 吉松隆「夢みるクラシック 交響曲入門」 ちくまプリマー新書 2006年10月

 23 「考える人」2006年秋号

買ってきたばかりの「考える人」(新潮社)の最新号をぱらぱらと見ていたら、昔なつかしい、ヘルメット・覆面・ゲバ棒のスタイルの面々が安田講堂の時計台を背景にデモ?している写真が目にはいった。佐藤卓巳さんという人の「セロンに惑わず、ヨロンにもか…

今日買った本

ホメロス「イリアス」 岩波文庫 ホメロス「オデュッセイア」 岩波文庫 ラ・ロシュフコー「箴言集」 岩波文庫

 22 丸谷才一 鹿島茂 三浦雅士「文学全集を立ちあげる」

いよいよネタがなくなってきたので、買ってきたばかりの全共闘運動とは何の関係もない本を無理やり材料としてみる。 全共闘運動とは関係ないのだけれども、鹿島氏は1946年生まれ、三浦氏も1949年生まれということであり、ともにいわゆる全共闘世代で…

今日買った本

阿刀田高 「チェーホフを楽しむために」 新潮社 2006年7月 丸谷才一 鹿島茂 三浦雅士 「文学全集を立ちあげる」 文藝春秋 2006年9月

 21 坪内祐三「考える人」

坪内祐三氏の「考える人」(新潮社 2006年8月)は何だか腰のすわらない本である。この手の本を買うひとは、そこにとりあげられたたとえば武田百合子とか長谷川四郎について何かを知りたいと思って買うのではないかと思う。しかし、本書では坪内祐三氏の…

 ⑳ 水谷三公「丸山真男」・その2

水谷氏の本を読んで、当時(1968年〜69年)の雰囲気をなんとか思い出そうとしてみると、ベトナム戦争というのが大きかったなあ、ということを感じる。そして、その当時のベトナム戦争のイメージというのは、腐敗した南ベトナム政権に対抗する愛国者た…

 ⑲ 水谷三公「丸山真男」・その1

この本は二年前に読んだときはあまり面白いとは思わなかった。今度、丸山真男が全共闘にいじめられた過程を調べるのに読み返して、面白くて再度通読してしまった。面白かったのは丸山真男と社会主義のかかわりとして述べられるその当時に流通していた社会主…

 ⑱ 山本七平「空気の研究」

小阪氏が「思想としての全共闘世代」で一番言いたかったことは、「その時代につかまってしまった」ということであるように思える。「そこで自分が決まってしまった、あるいはそこからいまのぼくの人生がはじまったというのも、ぼくにとって動かしがたい事実…

 ⑰ 阿部謹也「世間とは何か」・その2

小阪氏の本を読んでいて疑問に思うのは、全共闘運動というものが偶然の産物だったのではないかという視点を欠くように見える点である。 その原点となったのが医学部の青年医師連合のインターン制度反対の運動であったのは衆知のことであるが、このインターン…

今日買った本

阿部謹也「「世間」への旅」 筑摩書房 2005年7月 中井久夫「樹をみつめて」 みすず書房 2006年9月 坪内祐三「考える人」 新潮社 2006年8月

 ⑯ 阿部謹也 「世間とは何か」・その1

阿部謹也氏の「世間とは何か」(講談社現代選書 1995年)の本文は以下のように始まっている。 今から十数年前のことである。女子学生の一人が、ゼミナールのコンパの席上で突然次のような質問をした。「先生、中年の男性ってどうしてあんなに汚らしいの…

 ⑮ 養老孟司 「運のつき」・その3

養老氏は、自分のことを普通だと思っている人間ほど危ないという。なぜなら自分を普通だと思う人間は、自分は変なことをしないと思っているからだ、と。その普通の自分が変だと思うことが世の中で起こっているなら、それは世の中が変であることになるから、…

 ⑭ 養老孟司 「運のつき」・その2

養老さんは、自分には《所を得ない》という感覚、《自分が「そこにいて当然だ」と思える居場所がない》いう感覚がある、それは《大げさにいうと「私なんかが生きてここにいて、そのためみなさまにご迷惑をおかけして、まことに相すみません」という感覚なん…

 ⑬ 養老孟司 「運のつき」・その1

「運のつき」(マガジンハウス 2004年)は養老さんの本としてはあまり売れなかったのではないかと思う。題名だけみても何について書いた本だかわからないし、内容は全共闘運動へのうらみつらみであるし。 全共闘運動へのうらみつらみといっても、相手は…

 ⑫ 高橋源一郎「ジョン・レノン対火星人」(文庫版)の内田樹の解説「過激派的外傷あるいは義人とその受難」

高橋源一郎「ジョン・レノン対火星人」(講談社文文芸文庫 2004年))に付された「過激派的外傷あるいは義人とその受難」という内田樹の解説はちょっと異様なもので、高橋源一郎と内田樹という、ともに1970年生まれの世代(東大入試がなかった時の大…

 ⑪ 福田恆存「解つてたまるか!」

福田恆存の戯曲「解つてたまるか!」(「解つてたまるか! 億萬長者夫人」所収 新潮社 1968年)は全共闘運動とはなんの関係もない。1968年2月に静岡県寸又峡温泉であった金嬉老事件を題材にしたものである。といっても題材にしているだけで、舞台を…

 ⑩ 実存主義的マルクス主義?

小阪氏の「思想としての全共闘世代」のp37に、その当時のマルクス主義は「実存主義的気分にひたったマルクス主義」であったということがいわれている。 マルクス主義は合理主義の系譜の中にあり、実存主義は非合理主義の流れの中になると思うので、それら…

 ⑨ 村上龍「希望の国のエクソダス」

加藤典洋氏の「小説の未来」(朝日新聞社 2004年1月)からそのまま引用すれば、「希望の国のエクソダス」は「中学生の一団が、「現代日本」の中で反乱を起こし、北海道に新しい「希望の国」を作る話」である。エクソダスだから、革命ではなくて、脱出で…

 ⑧ 庄司薫 「赤頭巾ちゃん気をつけて」

「赤頭巾ちゃん気をつけて」は1969年8月に刊行された。安田講堂事件で入試が中止になった年の大学受験生を主人公にしており、明白に全共闘運動を意識して書かれたものである。著者の庄司氏は東大法学部の丸山真男門下生らしいが、刊行当時これを読んだ…

 ⑦小室直樹「危機の構造」

小室直樹の「危機の構造」ははじめ1976年にダイヤモンド社から刊行された氏の処女作である。のちに中公文庫の収められた。わたくしのもっているのはその文庫版(1991年)であるが、それも現在絶版のようである。 本書をもって氏の最高の著作とするも…

今日買った本

トルストイ「戦争と平和 6」 岩波文庫 2006年9月 ゲーデル「不完全性定理」 岩波文庫 2006年9月 B・ブライソン「人類が知っていることすべての短い歴史」 NHK出版 2006年3月 山田昌弘「新平等社会 「希望格差」を超えて」 文藝春秋 20…

 ⑥ 「討論 三島由紀夫 vs. 東大全共闘」

小阪氏の本によれば、小阪氏は69年に東大焚祭委員会という組織をつくったのだそうである(焚祭は「フンサイ」とも読むのだそうである。つまらない洒落である)。しばらくして小阪氏はそこからも離れていったようであるが、その委員会を継いだ友人の木村修…

 ⑤ 橋本治「ぼくたちの近代史」

橋本治の「ぼくたちの近代史」(河出文庫 1992年 単行本 主婦の友社 1988年)は1987年におこなわれた講演を本にしたもの。3部にわかれ、全6時間というとんでもない講演で、その第一部はほとんど全共闘問題だけが論じられている。いままでいく…

 ④ 社会主義

1991年、あっというまにソヴィエト連邦が消滅してしまったときには本当に驚いた。信じられない思いだった。1989年のベルリンの壁の崩壊にもびっくりしたけれども、東側の体制というのがこんなにあっけなく崩れてしまうというようなことは予想だにし…

 ③革命

本書のあちこちに「革命」という言葉が見られる。それも気軽にというか、いたって無造作に使われている。この「革命」という言葉の意味がわからない。 「革命」というのは、通常は暴力的手段で権力を奪取することを指すものと思われる。しかし、そういう使い…