わたくしは小学校の時は算数少年で、いわゆる文章題(鶴亀算など)は計算間違いさえしなければ間違えることはないと自信を持っていた。しかし麻布中学にはいると、自分より頭がいいのがゴマンといることがすぐにわかり、挫折して、今度は小説ばかり読んでい…
2月1日より本日まで入院していたため更新できませんでした。 本日退院いたしました。 詳しいことはまた報告します。 とりあえずのほうこくです。
何だか近々野球の国際大会があるらしく、サムライ・ジャパンがどうしたというようなことをテレビで言っていた。 男がサムライで女がナデシコというのはいかにもステレオタイプな分け方である。これは男女の間に何らかの差があることを公認するということであ…
谷川俊太郎に「鳥羽」連作という詩があって、その最初の「鳥羽 1」に 本当の事を言おうか/ 詩人のふりはしてるが/ 私は詩人ではない という部分がある。第二連の3行である。 わたしがこの「本当の事を言おうか」を知ったのは、大江健三郎の「万延元年のフ…
庄司薫の「赤頭巾ちゃん 気をつけて」は、安田講堂落城の後、東大入試の中止が発表されてしばらくして発表された。入試の中止などを背景にした作品であるからリアルタイムに書かれた作品である。この小説を読んで、それまでかすかに残っていた「小説でも書こ…
中学・高校と制服だった。一浪した時は、親が買ってくれた洋服を着ていたが、ネクタイを締めた記憶はない、大学に入って親が嬉しがって作った制服を少しの間は着たが、すぐに着なくなり、後はラフな格好で通していた。 医者になり研修をはじめた時に指導医か…
前稿で、『おそらく西洋思想の核心は啓蒙思想であり、啓蒙思想の根は「何が正しいかをわれわれは知ることは出来ない」というものである。われわれになにが正しいかをしることができないがゆえに、われわれは互いに許し合わなくてはならない。』というような…
2年前から、大腸がんステージ4で化学療法を継続していたが、その効果が頭打ちになったため、1月11日から本日まで、別の化学療法の副作用チェックのため入院していた。 前回入院時は急な入院で本をもちこまなかったので、スマホでキンドルで読むあまり読…
吉行淳之介に「戦中少数派の発言」という文がある。昭和十六年十二月八日の太平洋開戦の日の中学五年生の吉行氏の姿を描いた文である。氏は中学は麻布のはずだからわたくしの先輩であるが、当時の麻布はあちこちの学校に落ちた生徒を救済する学校であったよ…
わたくしは杉並区荻窪で生まれ、結婚して数年音羽に住んだ後、また荻窪の家に戻り、数年前に杉並区成田に転居したので、ほとんどを山の手で暮らしてきたことになる。 では自分が住んできたところに愛着があるかというと、そもそも無味無臭の場所で生きてきた…
急な入院で、本もパソコンも持ち込まなかったので、手許にはi-phone のみの状態だった。それで、本を読むのはキンドルに入れてあった数冊の本ということになった。 もうどういう経緯であったか覚えていないが、何かの時に読むかもしれないと思っていれてあっ…
半年位前に一度自分の病気について書いたことがある。 - 2020年後半から何となく調子が悪かったが、その年に亡くなった母の相続の問題などがあり、経過をみていた。 しかし、どうにも調子が悪いので、2020年の年末に血液検査。そこで強度の貧血が見…
約40日前から入院のため中断しておりましたが、本日退院のため 明日から再開の予定です
「共和、下院で優勢 粘る民主 上院で伯仲 米中間選 激戦続く」というのが見出しである。違和感を覚えたのは、最後の「米中間選 激戦続く」の部分である。投票はもう終わっていて、開票作業に入っているのだから、戦いは終わっていて、あとは粛々と結果をまつ…
日本などアジア地域での新型コロナウイルスによる死亡率が、欧米地域などと比べて低いということがいわれている。これにも種々原因がいわれているが、いずれにしても、そのことを理由に、ウイルス感染に強権的に対応するか、なるべくゆるやかに対応するかを…
コロナの話から少し遠ざかってしまったが、要するに感染対策上何らかの行動制限が必要とされる場合、個々人は自己の判断でそれに応じたり、従わなかったりできるのかという問題である。 また「何らかの行動制限が必要とされる」という場合にはそれなりの根拠…
与那覇潤氏の「歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの」(朝日新書 2021年6月刊)にある、コロナウイルス感染への日本の対応についての氏の見解にいささか納得できないものがあった。コロナの問題についてはまったくの素人ではあるけれども、…
漱石の「虞美人草」は漱石が朝日新聞社に移っての第一作なので、張り切りすぎたのであろう、美文調過剰の小説で「春はものゝ旬になり易き京の町を、七條から一條迄横に貫ぬいて、烟る柳の間から、温き水打つ白き布を、高野川の磧に数へ盡くして、長々と北に…
習近平氏の続投が決まり、今後ますますその権力が強化されるらしい。 その報道を見て感じるのが、そのような独裁色が強い国家が旧共産国&現(自称?)共産国に多く見られるということである。 中華人民共和国は共産党の一党支配の体制にあるが、その政党は…
最後にふされている「跋」は全体で7ページほどで、一部はこういう出版物の例にもれず、本書の出版にかかわった方への謝辞である。問題はそれ以外の部分で、現在の日本の人文学の現状(惨状?)の指摘と、それへの批判である。 2016年のトランプ当選&ブ…
この期間は平成という時代への喪の作業の期間だったと与那覇氏はいう。 アベノミクスの成果であるとされた景気の拡大は平成18年(2006年)10月までで、以後は収縮へと転じる。わたくしは2000年頃までがバブルで、2003年くらいまではバブルの…
与那覇氏は、平成29年からの第二次安倍政権の初期ほど、平成の達成が崩れていった時代はないが、それに気づいていない人が多いという。 「アベノミクス」は国民に好評だった。株価は高騰し、円安が進んだ。知識人もそれに同調していた。「リフレ政策」が受…
自民党麻生政権は低支持率で鳩山政権に交代。その当初の高支持率はすぐに低下するが、菅直人への交代でふたたび上昇。しかしその消費税増税発言でまた低下。・・とにかく非自民政権は不安定だった。この一つの原因としてはこの政権を陰であやつった小沢一郎…
今日の朝日新聞朝刊の2面に雑誌「世界」の宣伝が載っていた。特集が「戦後民主主義に賭ける」。「賭ける」というのは、普通は《勝つ可能性は高くないが敢えてそれを知った上で》というニュアンスで用いる言葉だと思う。とすると、この特集は「戦後民主主義…
06年9月、第一次安倍内閣発足。その直前に8月15日に小泉首相が靖国参拝。 小泉政権下ではケインズからハイエクへの構造転換がおこなわれたと与那覇氏はいう。 このころから、ポスト冷戦で軽やかになったように見えていた論壇が「重くて暗い」論調へと…
今年のノーベル文学賞にエルノーさんというフランス女性が決まったらしい。 どこかで聞いたことがあるような気がしたので調べてみたら「シンプルな情熱」というのを読んだことがあるのを思い出した。もう30年位前かも知れない。本当に単純に女の人が男の人…
小沢一郎 小泉純一郎 橋本行革・・などが論じられるが、現実の政治には関心があまりないのでパス。このころ覚えているのは、テレビをみていた母親「何だか、小泉さん怒っているよ!」と教えてくれたことくらいである。竹中平蔵さんの写真もでているが、どう…
何だかなかなか進まないので、今回は2章をまとめて5年分。 与那覇氏は、1999年は「言語から身体へ」の転換が動き出した年であったという。すなわち「何が語られているか?」から「誰が語っているか?」へ。この年都知事になった石原慎太郎と自死した江…
平成9年(1997年)は後世から「右傾化の原点」と記されるかもしれないと与那覇氏はいう。同年1月に西尾幹二&藤岡信勝の体制で「新しい歴史教科書をつくる会」が発足し、さらに5月には「日本会議」が結成されたからである。 わたくしはこの「新しい歴…
最初に三島由紀夫の「太陽と鉄」からの美文の引用、次に「新世紀エヴァンゲリオン」への言及。 「太陽と鉄」は昭和43年(1968年)講談社刊。裏表紙には篠山紀信氏の撮った、褌一つで鉢巻きをし、日本刀を半ば抜刀してこちらを睨んでいる三島氏の写真。…