BBCが2014年春のウクライナを報道した「ニュースナイト:新しいウクライナにおけるネオナチの脅威」という番組がある。これをみれば少なくとも2014年の段階において「ネオナチ」といわれるようなものがウクライナに存在していたことがわかる。プーチ…
わたくしが持っている吉田健一の訳詩集「葡萄酒の色」は昭和53年(1978年)刊の小澤書店(発行者長谷川郁夫)刊のものと、2013年刊行の岩波文庫の二冊である。 長谷川郁夫氏の「吉田健一」(新潮社2014)によれば、昭和50年に刊行された「ラ…
ジュール・ラフォルグは19世紀後半のフランスの象徴派の詩人で、27歳で死んでいる。T・S・エリオットなどに影響を与えたといわれ、日本でも、中原中也、梶井基次郎などが愛読したのだそうである。作品としては、「嘆き節」「聖母なる月のまねび」などが…
著者の塩原氏は随分多くの著書があるかたのようであるが、こちらの不勉強でまったく存じ上げなかった。新聞の広告でこの本を知った。 昨今の報道では、ウクライナ100%善、ロシア100%悪という論調ばかりが目について、まるで単純な勧善懲悪、いくら何…
今日の朝刊にカール・ポパーの「開かれた社会とその敵」とG・ベイトソンの「精神の生態学へ」の広告が出ていた。岩波文庫に所収されたらしい。 「開かれた社会・・」は西欧擁護の本であるから、ウクライナの戦争という現時点を反映しての文庫収載なのかもし…
暇なのでよくYouTubeを見ているが、そこでの識者?(昔の言い方では文化人?)がいろいろと見解を述べているのを見ると、その人の背後は書棚であることが多い。意見を述べている本人に焦点があたっていて背後の書棚はぼんやりとしか見えないが、わたくしなど…
前回(2)から大分空いてしまったが感想の続き。第11章 三項表象と共同幻想 ヒトは食べていくためにも共同作業が必要。とすると「個体は基本的に一人で食べていく」という仮定を前提とする行動生態学の知見をそのままヒトに当てはめることはできない。 そ…
実はこのお二人ともほんの少し前までまったく存知あげなかった。上橋氏は文化人類学者のようだが、児童文学として有名な方らしい。野間児童文学賞 本屋大賞 日本医療小説大賞 国際アンデルセン賞作家賞などとある。一方、日本文化人類学章受賞ともあるから、…
わたくしは大学で2年間初期研修をした後3年目の研修を外の病院でおこない、大学に戻って学位のための研究もどきをおこない、その後また3年目の研修を行った病院に就職し、その後定年までその病院で過ごすといういたって単純な人生をおくったわけだが、その病…
本棚の奥のほうから「進化論の現在」というシリーズ本がでてきた。ロンドン大学で行われたセミナーを翻訳したもので全部で7冊、翻訳は2002年から4年にかけて刊行されている。 トンデモといわれることもあった竹内久美子さんが翻訳を担当しているが、決…
片山杜秀さんの「片山杜秀の本6 現代政治と現代音楽」(ARTES 2013)の冒頭に「坂本龍一と井上ひさし」という文があり、「坂本は日本を代表する著名な作曲家であるが、誰でも知っているメロディをたくさん作っているかというと・・戦場のメリークリスマ…
第6章 ヒトの食物と人間性の進化 ある生物が何を食べるかは、その生物の進化にとってきわめて重要。例)ガラパゴス島のダーウインフィンチ。 ヒトは昼行性の霊長類だが、昼行性の霊長類の主食は通常は果実や歯葉などの植物である。昆虫も食べるが他の霊長類…
長谷川眞理子「進化的人間考」(1) 少 し前からレイランドというひとの「人間性の進化的起源 なぜヒトだけが複雑な文化を創造できたのか」(勁草書房 2023)という本を読みだしたのだが、何か変だなという感じが強くなってきて中断している。著者は自…
今朝の朝日新聞に佐伯啓思氏の『西欧の価値観「普遍的」か』という文章が載っていた。(わたくしから見ると)氏は右の人で(あるいは日本的価値観を称揚する人で)日本的価値観を否定するように見える西欧的価値観が普遍的なものであり世界標準であるべきと…
今朝の朝日の朝刊に「紙の本の値上げが続く。文庫本も千円超」という記事がでていた。手許にあった吉行淳之介「原色の街・驟雨」(新潮文庫 昭和41年刊)を見てみたら110円だった。1966年だから50年以上前。今はこの文庫本は700円位の値段であ…
もの好き&ミーハーなものだから上野さん騒ぎはその後どうなっているのかな?と思って見て見たら、以外な展開になっていた。 上野さんの結婚相手は色川大吉さんという学者さんだったらしい。色川氏が学者さんということだけは知っていたが、それ以上は何も知…
飯島畊一さんの詩に「日本中がテレビを囲んで 放心している 」というところがある。(飯島畊一「バルセロナ」 思潮社 1976) 何かの国際的な野球トーナメントで日本が優勝したらしい。これからしばらくは新聞やテレビがそれ一色になるだろうと思うといさ…
前回、渡辺京二さんについて書いた時、渡辺さんが山田風太郎さんを絶賛していたことを書いた。それで自分が読んだ山田氏の本をいくつか思い出した。なにしろ超多作家であるからこちらが読んだのはごく一部であるが、思い出すままに順不同で。出版社名なども…
渡辺京二さんが去年末に亡くなられていたらしい。今日の朝日の夕刊で知った。去年12月25日だったということであるが、そのころわたくしは入院中で三日後の28日に退院したので、新聞はみていなかった。しかしネットの記事はみていたが、そこには出てい…
今日の朝日新聞朝刊の読書欄にケヴィン・レイランドというひとの「人間性の進化的起源 なぜヒトだけが複雑な文化を創造できたのか」という本が紹介されている。著者は進化生物学者とのことである。人間と人間以外の動物の関係という問題は、これからここでし…
日本共産党が党首を公選すべきと主張した党員が共産党から除名されたという記事がでていた。共産党は衰退の一途をたどっているわけでいずれ消滅していくのであろうから、このこと自体はどうでもいいのだが(党首を公選にしても党勢が回復するとは思えない)…
最近、上野さんがちょっとした話題になっているのだそうである。上野さんが実は結婚していたというのがその理由らしい。別にだれが結婚していようとしていまいとどうでもいいことで、余計なお世話としか思えないが、上野さんは最近「おひとり様の○○」という…
大江健三郎さんが亡くなられたらしい。 わたくしは大江さんのよい読者とは言えないが、少し書いてみたい。 一読者の思いとしてはノーベル賞などもらわなければもっと自由に、マイナー・ポエットとは言えないまでも、氏の一番の資質であるとわたくしが思うリ…
社会生物学論争は今から50年ほど前に主として欧米でおこなわれた生物学者間の論争である。オルコック「社会生物学の勝利 批判者たちはどこで誤ったか」(新曜社 2004年)の長谷川真理子氏による「訳者あとがき」によれば、「人間の心理や行動の奥に横…
わたくしがまだ若いころ、女性は25歳までに結婚しないと行き遅れであるといわれて婚期を逸したとされていた。寿退社という言葉があった。要するに女性は社会・会社の戦力であるとはみなされていなかった。 わたくしの医学部の同期生で女性は10人(1割)…
最近の新聞の記事は本当につまらないので、もうとる意味はないようにも思うのだが、それでも取り続けているのは出版広告をみるためということが大きいような気がしている。そしてそれをみると、最近出版される本は老人を対象にしたものがとても多い。今日の…
わたくしは現在76歳で、昭和22年生まれ、敗戦後2年である。もちろん、わたくし自身は覚えているはずもないが、日本がまだ極度に貧しかった時代で、わたくしはかなりの未熟児として生まれたのであったのだそうである。小児科医であった父が病院からくす…
わたくしは現在76歳なので、昨年から後期高齢者の仲間入りである。 小学校の同級で今もその学区内に住み続けている数名で懇親の会?のようなものがありわたくしが幹事をさせられていて、毎年1回くらい会をもっているが、今年の会については、例年の参加者…
今日の朝日新聞の社説「ウクライナ侵攻1年 戦争の理不尽許さぬ知恵を」はわたくしには何が書いてあるのか文意不明、というか支離滅裂のように思えるものであった。a)まず「ウクライナで日常となっている戦争の現実」が描かれる。 b)「戦争の非道は、弱…
自分の病気という個人的なことをここに書いても仕方ないと思うが、糖尿病というのは頻度の高い病気であり、糖尿病でこのブログを見ている方もあるかも知れないので、何かの参考になるかと思い、今回の入院につき簡単に書いてみることにする。 糖尿病による昏…