2012-01-01から1年間の記事一覧

今日入手した本

官僚制としての日本陸軍作者: 北岡伸一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/09/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログを見る 片山杜秀氏の「未完のファシズム」を読んで以来、第一次世界大戦から第二次世界大戦かけての歴史、特に軍のか…

N・モンサラット「非情の海」

至誠堂 1992年 この本は東京駅の丸善に特設されていた松岡正剛氏選による本棚が9月一杯で終了するというので、その前にと思って見にいって、そこで見つけた。吉田健一訳というのでなければ買わなかったであろう本である。 第二次世界大戦でアメリカから…

今日入手した本

非情の海〈上〉作者: ニコラスモンサラット,Nicholas Monsarrat,吉田健一出版社/メーカー: 至誠堂発売日: 1992/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 吉田健一が「家を建てる話」(「三文紳士」所収)というふざけた文で書いている本がこれ…

その14 詩と散文

先週の土曜日に朝日カルチャーセンターで荒川洋治さんの「吉本隆明の詩について」という講座をきいて、そこで吉本が「詩は価値に、散文は意味により傾斜する」ということを主張していたことを荒川氏が紹介し、しかし自分では「詩は個人の言葉、散文は社会の…

川久保剛「福田恆存」

「新しい左翼入門」で左側のことを少し考えてみたので、今度は保守について。 本書は「ミネルヴァ日本評伝選」の一冊で、伝記あるいは評伝にかなり徹した本なので、川久保氏自身の意見をストレートにだしたものではないけれども、それでも川久保氏が保守思想…

「AERA」12年9月24日号「コレステロール引き下げるな」

8年ほど前に、柴田博氏の「中高年の健康常識を疑う」を読んで以来、コレステロールの問題に野次馬的な興味を持っている。それでこの雑誌も買ってきた。3ページくらいの記事で、書いているのは長谷川熙というライターの方。 日本では「日本動脈硬化学会」と…

その13 朝日カルチャーセンター 荒川洋治「吉本隆明の詩について」

現代詩作家荒川洋治氏の「吉本隆明の詩について」という単発の講座をきいてきた。 荒川氏は長年ラジオのパーソナリティをしているのだそうで、とても話がうまいというか達者で、本来は90分の講座なのだが途中10分の休憩をはさんで120分、聴衆を飽かせ…

今日入手した本

怖い本と楽しい本 毎日新聞「今週の本棚」20年名作選(1998年~2004年)作者: 丸谷才一,池澤夏樹出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 2012/09/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を見る 毎日新聞書評選の第二巻。今回は19…

今日入手した雑誌

すばる 2012年 10月号 [雑誌]出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/09/06メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る 橋本治の戯曲「ボクの四谷怪談」が載っていたので買ってきた。氏の「義経伝説」のあとがきにでていたその処女作「ABC四谷怪談」…

松尾匡「新しい左翼入門」(承前)

この本の感想については、この前の記事で、本を購入記録を書いたときにあらかた述べたので、それでいいと思っていたのだが、もう少し書いてみたくなった。それで承前である。 この前の記事で、「読んでみて何だかなあと思った」といったことを書いたのだが、…

今日入手した本

新しい左翼入門―相克の運動史は超えられるか (講談社現代新書)作者: 松尾匡出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/07/18メディア: 新書購入: 4人 クリック: 61回この商品を含むブログ (30件) を見る この前、橋本治「その未来はどうなの?」を論じたときに言…

今日入手した本

新しいチェロ奏法―身体に優しいチェロ演奏のために作者: ヴィクターセイザー,三本雅俊出版社/メーカー: 音楽之友社発売日: 1998/05/01メディア: 大型本 クリック: 2回この商品を含むブログを見る 昨日に続いてこんな本である。これも古本。 演奏家に身体障害…

今日入手した本

ネヴァー・トゥー・レイト―私のチェロ修業作者: ジョンホルト,松田りえ子出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2002/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (8件) を見る 65歳でチェロをはじめるなどということをしなければ、絶対…

橋本治「その未来はどうなの?」(終)

第七章は「TPP後の未来はどうなの?」である。 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に参加した後の日本の未来はどうなるのか? そんなことは自分には分からないと橋本氏はいう。氏が指摘するのは、TPPもその一つの例であるように、さまざまな問題…

橋本治「その未来はどうなの?」(3)

「歴史の未来はどうなるの?」というちょっと変なタイトルの章で、橋本治氏はこんなことをいう。「今とは関係ない昔のことを頭に入れて、なんの役にたつんだ?」という意見がある。たしかにそうだ、と。その例として氏は、織田信長の名をだす。歴史の教科書…

橋本治「義経伝説」(「浄瑠璃を読もう」番外)

河出書房新社 1991年 この本は、だいぶ前に東京駅の「丸善」で見つけたのだったと思う。こういう珍しい本は見つけた時に手に入れてしまわないとすぐに姿を隠してしまうので、買った。買って安心して読まないままというのもいつものパターンで、本棚の奥…

橋本治「浄瑠璃を読もう」(終わり)

次は近松門左衛門の「国姓爺合戦」なのだが、橋本氏はあまり熱が入っていない。 近松門左衛門は人形浄瑠璃を代表する作家と一般に思われているのでとりあげたという感じで、氏にいわせれば、近松は人形浄瑠璃作家の中では「ちょっと変わった存在」なのである…

橋本治「その未来はどうなの?」(2)

今回はあらためて「まえがき」から。 橋本氏は、なんでここでに書いているようなことを考えているのかというと、それをしないと「自分の足下が崩れてしまう」からだという。「自分が明確だから、世の中のことなんかどうでもいい」と言える人は、自分を明確に…

橋本治「その未来はどうなの?」(1)

第2章「ドラマの未来はどうなの?」にとんでもないことが書いてある。 さて、ここでのドラマとは「指針のない世の中で、人が生きて行くための指針となった物語」を指すのだとされる。江戸時代は、「なにしてやがんだ手前ェは! このバカ野郎!」というよう…

今日入手した本

その未来はどうなの? (集英社新書)作者: 橋本治出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/08/17メディア: 新書購入: 4人 クリック: 15回この商品を含むブログ (16件) を見る 橋本氏は2年前から大病にかかっているらしく、「体力・気力・知力ともにない」などと…

片山杜秀「続クラシック迷宮図書館」

ARTES 2010年3月 「未完のファシズム」以来、片山氏の本をいろいろ読み直しているが、これもそのうちの一冊。様々な音楽書についての書評を集めたものである。 その中から、2005年11月の「『モオツァルト』と「近代の超克」」は井上太郎氏の…

今日入手した本

福田恆存―人間は弱い (ミネルヴァ日本評伝選)作者: 川久保剛出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2012/07メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 小谷野敦氏のブログで紹介されていた。 福田氏はわたくしが心酔ということをし…

片山杜秀「ゴジラと日の丸」(2)

文藝春秋 2010年12月 2000年10月18日の日付の『指圧の心、母心。浪越徳治郎は真に六〇年代的な偉人だ』というコラムについて。 浪越徳治郎といっても今の若いひとは知らないだろうし、1963年生まれの片山氏が知っているのが驚きなのだが、…

片山杜秀「ゴジラと日の丸」

文藝春秋 2010年12月 二年ほど前に刊行されたコラム集で、95・02・08の日付の「何が危機管理だ! 東京直下型大地震を管理できるものならしてみろよ!」という神戸の地震の後に書かれたコラムにつき、東日本大震災の後にここで言及したことがある…

橋本治「浄瑠璃を読もう」(5)

次は『ひらかな盛衰記』。 これは『源平盛衰記』の分かりやすい「ひらがな版」なのだそうである。であるが、『源平盛衰記』自体が学者しか読まない一般の読者にはなじみがないものとなってしまっているので、もっと説明が必要になって、橋本氏によれば『源平…

橋本治「浄瑠璃を読もう」(4)

つぎが『本朝廿四孝』である。わたくし本当にこれ題名しか知らなかったので、日本の親孝行列伝と思い込み、親孝行も孝行話も大嫌いなので、いやな話だろうなとだけ思ってきた。それが何と上杉謙信と武田信玄の話なのである。浄瑠璃の台本にはタイトルの上に…

橋本治「浄瑠璃を読もう」(3)

『人形浄瑠璃に「お姫様」が登場すると、彼女の仕事は「恋をすること」になってしまうのが通り相場』と橋本氏はいう。『ただもう一途に恋をする。はたの迷惑も考えず、「逢わせてたべ」と泣きすがる。「お姫様」ばかりでなく、「若い娘一般」がそうである』…

橋本治「浄瑠璃を読もう」(2)

ここでは、その時々に読んだ本の感想というか、後々の参照のための内容のまとめのようなものを書いているのだが、この二ヶ月ほどは、片山杜秀氏の「未完のファシズム」が面白かったので、それとのかかわりで読んだ本が多くなってきている。 なにしろ片山氏の…

高野文緒「カラマーゾフの妹」

講談社 2012年8月 昨日、80ページくらいまで読んで、つまらないなあ、読み続けられるだろうかと書いたが、100ページ目あたりで「悪魔」がでてきて、あぁ「巨匠とマルガリータ」のパクリと思い、少し風景が変わって、これで読み続けられるかなと思…

今日入手した本

カラマーゾフの妹作者: 高野史緒出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/08/02メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 39回この商品を含むブログ (53件) を見る 今年度の江戸川乱歩賞の受賞作らしい。昨日の毎日新聞の書評欄で紹介されていたので買ってき…